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歯痛と頭痛の関係。対処方法は?
お口の悩み

歯痛と頭痛の関係。対処方法は?

歯痛がするときに、頭痛がすることはありませんか?

実は、歯痛と頭痛には知られざる関係があります。

今回は、歯痛と頭痛の関係、対処方法についてお話しします!

歯痛と頭痛の関係

歯痛 頭痛

歯痛が悪化すると、三叉神経(さんさしんけい)と呼ばれる顔の神経を伝って、頭痛が起こることがあります。

三叉神経とは、主に顔の感覚を脳に伝えるための神経です。

神経の出入口が3つあり、脳から繋がるひとつの神経が3つに分かれて顔面に分布していることから「三叉神経」と呼ばれます。

三叉神経の3つの出入口のうち、2つが上下の顎の骨にあるため、歯痛が起こると上下顎にある2つの神経が反応して三叉神経痛が起こり、頭痛が発生することがあります。

逆に、なんらかの原因で三叉神経痛や頭痛が起きた場合は、上下顎の神経の出入口から痛みが伝わり、歯痛を起こすこともあります。

どこに原因があって歯痛や頭痛が起きているかは、どちらが先に痛み出したかで判断できることがあります。

基本的に、歯痛が先に起きた場合は口内の病気やトラブル、頭痛が先行している場合は目の奥がえぐられるような痛みがある群発頭痛が原因のことが多いです。

頭痛を引き起こす歯痛

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頭痛を引き起こす歯痛には、以下のようなものがあります。

  • 虫歯
  • 歯周病
  • 智歯周囲炎

いずれも、軽度のうちに頭痛を起こすことはまれです。

重症化して歯痛が激しくなったり、病巣から細菌が上顎洞に感染したりした場合などに、頭痛へと発展します。

特に虫歯による頭痛には注意が必要です。

痛みがあるほどの虫歯を長い期間放置すると、虫歯菌が血管に侵入して脳静脈血栓症を起こすことがあります。

脳静脈血栓症は命にも関わる症状で、虫歯菌が血管内で血栓を作り、脳の血管が詰まることで血流が悪くなり、頭痛や吐き気を引き起こします。

また、歯の根の治療が原因で頭痛が起こることもあります。

例えば、歯の神経の治療で根の先にある膿を取りきれなかった場合や、治療中になんらかの原因で上顎洞に細菌が感染してしまった場合です。

歯の神経の治療で膿を取りきれなかった場合は、炎症の原因となる膿が残っているため、歯の炎症が波及して頭痛へと発展することがあります。

治療中に上顎洞に細菌が感染してしまうパターンは、上顎洞に近いことから、上の奥歯の神経の治療で起こりやすいといわれています。

歯の根の先にある神経の穴から、炎症を引き起こしている細菌が上顎洞に侵入して炎症を起こします。

歯が原因で起こる上顎洞炎を歯性上顎洞炎といいます。歯性上顎洞炎は慢性化すると、軽度な頭痛が現れることがあります。

上顎洞は鼻のあたりに左右対象にあるため、歯が原因でない場合は両側の上顎洞が炎症を起こしますが、歯性上顎洞炎の場合は炎症を起こしている片側の上顎洞だけが炎症を起こします。

いつも右の鼻だけから黄色い鼻水が出るというような場合は、上顎洞炎症が右だけに起こっており、歯が原因かもしれません。

歯の痛みがある場合は、治療をしないと悪化する一方です。

異変に気づいたら、できるだけ早く歯科を受診しましょう。

歯痛を引き起こす頭痛

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歯痛を引き起こす頭痛には、以下のような病気から起こるものがあります。

  • 副鼻腔炎
  • 群発頭痛

副鼻腔炎の場合は、鼻づまりや咳、発熱などの症状があることが多く、歯痛は複数の歯や右半分、上の奥歯全体などの広い範囲に発現しやすいです。

歯痛までいかなくても、歯が浮く感覚が出ることもあります。

群発頭痛は、目の裏にある血管が広がって炎症を起こして激しい頭痛を引き起こします。

群発頭痛は一定の期間毎日、発作的に続くことがあり、目の奥がズキンズキンと痛むような症状が数十分起こり、頭痛が起きている間に歯痛が発現する場合があります。

30歳前後の男性に起こりやすいといわれており、慢性頭痛よりも起こる頻度は少ないです。

歯痛からくる頭痛の応急処置

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歯痛からくる頭痛は、原因となる歯の治療をすることで改善できます。

すぐに歯科を受診できない場合は、以下のような方法で応急処置をしましょう。

  • 市販の痛み止めを飲む
  • 患部を冷やす
  • 運動や飲酒をしない

ただし、応急処置は対症療法で一時的なものでしかないため、根本的な改善にはならないことを覚えておきましょう。

基本的には、早めに歯科を受診することが何より大切です。

市販の痛み止めを飲む

痛みが強い場合は、市販の痛み止めを服用しましょう。

痛みで眠れないときは身体へのダメージで症状が悪化しやすくなります。

歯科医院が開いていない時間に痛み出したときは、痛み止めで応急処置するのが効果的です。

患部を冷やす

歯痛があるところには炎症が起きていることが多いです。

濡れたタオルを頬の上から患部に当てて、冷やすようにしましょう。

保冷剤を直接頬に当てると患部が冷えすぎて痛みが悪化することがあるため、保冷剤はタオルに包むなどして冷えすぎないようにしましょう。

運動や飲酒、入浴をしない

血流が良くなると、炎症が悪化して痛みが強くなります。

運動や飲酒、入浴などで血流を良くする行為は控えましょう。

歯痛と頭痛は関連して起こることがある

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歯痛と頭痛にはさまざまな関係があり、ふたつが関連して起こることがあります。

歯痛が広がって頭痛が起きている場合は、患部を冷やしたり痛み止めを飲んだりして対処し、できるだけ早めに歯科を受診しましょう。

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長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務

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臨床研修終後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター