【歯科医師解説】八重歯を抜歯したい場合に後悔しないために知ってほしいこと

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最終更新日 2023年2月13日

八重歯は一度生えてくると、見た目がとても気になる存在になります。

八重歯があると、抜歯しようかどうしようか悩むことが多いと思いますが、八重歯がどのような状態にあるかで判断が変わってきます。

八重歯は放置すると咬み合わせに影響がでたり、虫歯や歯周病を引き起こす可能性があるため、

八重歯があると気づいたら早めに対処することが賢明です。

八重歯とは?

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八重歯は前から3番目に生えてくる歯(犬歯)が、萌出スペースが足りずに通常の歯列よりも前に生えてくる歯のことをいいます。

八重歯は、

・顎が小さく犬歯の萌出スペースがない場合

・犬歯自体が大きい時

・乳歯の早期喪失

などで発生します。

犬歯は歯の根が大変長く、大きく咬む力や歯軋りの力に耐えうることができる重要な歯です。

八重歯になったとしても課された役割は変わりません。

八重歯を放置することのリスク

八重歯が生えてくることによって見た目の問題が生じるのはもちろんですが、

・犬歯が歯列に組み込まれないことによって咬み合わせが悪くなる

・隣の歯との間が密になることによって汚れがたまりやすくなり、虫歯や歯周病にもなりやすくなる

といったリスクもあります。

また、周囲の歯に負担が増し、咬合性外傷という打撲みたいな状態に、

周囲の歯を巻き込む可能性もあります。

虫歯や歯周病が進行すると、

口臭の原因となることもあるため注意が必要です。

よって八重歯があると気づいたら、一度かかりつけの歯科医院を受診及び相談するようにしましょう。

八重歯を抜歯した方がいいのはどんな時?

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八重歯は咬み合わせで重要な役割を担っており、極力抜かない方が良いとされています。

しかし以下のような場合は抜歯を考えた方が良いです。

八重歯は先に説明した通り犬歯なので、難しい抜歯になる場合は、

大きな病院の口腔外科に紹介になる場合があります。

❶八重歯自体に問題がある場合

八重歯を支える骨がほとんどない場合や、八重歯自体が大きな虫歯になっている場合は抜歯の適応となります。また、稀ですが八重歯を含む腫瘍や嚢胞(膿の袋)がある場合も抜歯の適応となります。

❷八重歯を抜歯した時に自然な歯列になる場合

八重歯を抜歯したとして、空隙もなく自然な歯列になる場合は抜歯の適応となります。ただし、八重歯を抜いた部分の歯肉が少し凹んだ感じになる場合があるため注意が必要です。

八重歯を抜歯しない方がいいのはどんな時?

❶八重歯を矯正治療で歯列に並べることができる時

八重歯を矯正治療で歯列に並べることができるならば、抜歯をしない方が賢明です。八重歯はとても根が長い歯なので、強い矯正力が必要となります。

❷見た目も気にならなく、虫歯や歯周病のリスクも低い時

八重歯が存在しても、中には見た目が気にならないという方もいらっしゃいます。八重歯の生え方として、虫歯や歯周病のリスクが低く、八重歯を残しても問題が起こる可能性が低い時は抜歯をせず、様子を見ることもあります。

八重歯をなくす方法

❶八重歯が歯列に入るようにスペースを作る

八重歯は歯の萌出スペースが不足していることや、犬歯自体の大きさが大きすぎて生じるものです。

よって萌出スペースを十分に確保することができれば問題なく通常の歯として萌出します。萌出スペースを確保するには幼少期から学童期にかけての矯正治療が必要になってきます。

学童期が終わってからの矯正治療になると、顎骨の成長が終わっているため、萌出スペースを作ることができません。

❷八重歯以外の歯を抜歯して八重歯が歯列に入れ込む

八重歯以外の歯を抜歯してできたスペースに、八重歯に矯正力をかけて歯列入れ込むことができます。

八重歯の位置が悪い場合は歯列に入れ込むことができませんが、入れ込むことができれば八重歯をなくすことができます。

ただし、八重歯以外の歯を抜歯することになるため、健全な歯を失う覚悟が必要になります。

❸八重歯を抜歯する

八重歯を抜歯すると八重歯自体がなくなります。

八重歯の生え方によっては抜歯後の歯列に空隙ができることがあるので、抜歯後の歯列の見た目や機能を考える必要があります。

抜歯後必要によって、矯正治療や補綴治療(被せ物の治療)を実施します。

八重歯を矯正治療で治療するための装置

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❶ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は歯の表面にワイヤーとブラケットというワイヤー固定装置を付与するもので、ワイヤーの形が元に戻ろうとする力で犬歯を八重歯にならないように動かしていきます。矯正力を大きくかけることができますが、固定式の装置で、ワイヤーやブラケットの金属が見えてしまうため、見た目の問題が出てきてしまいます。また固定式の装置のため、虫歯にもなりやすいです。

❷裏側ワイヤー矯正

ワイヤー矯正と歯が動く理論は同じですが、ワイヤーが歯の裏側に付与してあるため、見た目の問題が従来のワイヤー矯正と比べて少ないです。適応症例が限られ、従来のワイヤー矯正に比べて費用が高額になるのがデメリットです。

❸床矯正

入れ歯のような装置を使用します。犬歯が八重歯にならないように萌出スペースを作るのが目的です。取り外し可能な装置のため、患者さんの協力が必要で、装置がしっかり規定の時間装着されないと、歯が計画通り動かない可能性があります。

❹マウスピース矯正

取り外し可能なマウスピースを使用して犬歯を八重歯にならないように動かしてきます。透明なマウスピースを使用するため、見た目の問題が少ないのが特徴ですが、適応が限られるのがデメリットです。

八重歯を抜歯する際にかかる費用は?

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八重歯を抜歯する際には、当然費用がかかります。

矯正などを考えず、犬歯が通常とは異なるところから萌出してきた(異所萌出)として判断されれば保険適用となりますが、

矯正治療の一環として抜歯する場合は、保険適用外となることがあります。

保険適用で抜歯した場合は抜歯の難しさにもよりますが、

多くても5000円程度です。

保険適用外で抜歯した場合は歯科医院ごとに費用が設定されているため、

具体的な金額を示すことはできませんが、5000円から10000円程度が一般的です。

まとめ

八重歯は生えてくる人と見た目の問題だけでなく、機能的にも問題を引き起こします。

八重歯があると気づいたら、抜歯すべきか否か、かかりつけの歯科医院で相談することをお勧めします。

image執筆  歯科医師/issy

国立歯学部卒業後、東京医科歯科大学歯学部附属病院で研修、現在勤務医として一般歯科、矯正歯科に携わっている。

日本口腔インプラント学会所属

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