【歯科医師監修】抜歯後の白いプニプニって何?

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最終更新日 2023年10月10日

歯を虫歯や歯周病で抜歯すると、歯肉に穴が空きます。

穴はだんだんと塞がってきますが、

抜歯した後には治癒する過程で白いプニプニしたものが出現します。

この白いプニプニしたものは一体何者なのでしょうか?

抜歯後の歯肉の治り方

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歯を抜歯すると、歯肉に穴が空きます。

穴にはやがてすぐに血液が満たされ、血液は固まることによって血餅というものを作ります。

血餅は手や足の傷でいうとカサブタのようなもので、歯肉の穴を覆い、感染から守ってくれます。

血餅の中では1週間から10日くらいで肉芽組織という将来骨や血管ができるための礎が出来てきます。血餅の表面ではだんだんと上皮(歯肉)が出来てきます。

最終的に抜歯したところが骨に置き換わるまでには半年以上かかることがあります。

抜歯後に現れる白いプニプニの正体は?

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抜歯後に現れる白いプニプニは血餅である可能性が高いです。

血餅というと赤いイメージがありますが、

そもそも血液は血球をはじめとする細胞成分と、

血漿と呼ばれる液体成分から構成されており、

血球部分は赤い色をしていますが、

血漿部分は白色、もしくは透明です。

血漿成分が多くなると、血餅は白くなる場合もあるのです。

この血餅は接着剤で付着している訳ではないので、少しでも舌や手で触ると動きます。

むやみやたらに触ってしまうと、血餅が取れたり、細菌感染を引き起こしてしまいます。

また、気になるからといって過度にうがいをしてしまうと血餅が流れてしまうことがあります。

白いプニプニ(血餅)が取れてしまうと?

血餅が取れたり、流れてしまうと、創傷治癒の遅延や細菌感染が起こってしまいます。

一番起こりやすいのはドライソケットです。

ドライソケットはその名の通り、抜歯した穴に血液が満たされず、

血餅がない状態のことで、穴が乾いている状態です。

穴が乾いているので、骨が空気と触れている状態になり、疼痛や感染を引き起こします。

また、血餅は止血剤の役割も担っており、血餅が取れると出血することもあります。

ドライソケットになったら

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一度ドライソケットになると、痛みは場合によっては数週間続きます。

ドライソケットが疑われる場合はすぐにかかりつけの歯科医院を受診しましょう。

ドライソケットへの対応は以下の通りです。

状況により組み合わせて対応されることも多いです。

抜歯したところの掻爬

ドライソケットになったところを再び血液で満たすために、麻酔をして抜歯した穴をわざと傷つけ、

もう一度血液で満たすようにします。

血液で抜歯した穴を満たすことによって、もう一度血餅を作ることを目的とします。

血餅が再度取れないように、コラーゲンでできた止血用のスポンジを入れたり、縫合したり、止血用のパックをすることもあります。

ただし穴に麻酔をするとかえって血流がなくなり悪化する可能性があり、また、麻酔をしないとただでさえ痛いところをさらに掻き回すことで痛みが増悪することもあるため注意が必要です。

軟膏ガーゼを穴に詰める

ドライソケットになったところに抗生物質などの軟膏を浸したガーゼを詰め込むことがあります。

ガーゼがカサブタの役割をするので、創傷治癒を促進させます。

軟膏ガーゼを詰めた場合は数日後に詰めたガーゼを除去しなければならないため、再度来院する必要があります。

掻爬の時と同じようにガーゼが取れないように縫合することもあります。

抜歯した穴に表面麻酔とスポンゼルなどのゼラチンを入れる

表面麻酔を抜歯した後の穴に入れた後、通常止血剤として用いるゼラチンスポンジを入れて穴を覆うことでかさぶたの役割をします。

浸潤麻酔と違い、表面麻酔には血流を遮断する力がないため穴に入れても問題ありません。

スポンゼルやゼルフォームなどのゼラチンスポンジは吸収されるため、後日取り除く必要もありませんが、抜歯した穴が浅い場合は取れてしまうこともあります。

ユージノールセメントを穴に入れる

酸化亜鉛ユージノールセメントを抜歯した穴に入れます。

軟膏ガーゼと同じ理論で、ユージノールセメントがカサブタの役割をします。

ユージノールには疼痛を除去する作用もあります。

ユージノールセメントは流れやすいため、抜歯した穴が浅い場合は取れてしまうこともあります。

薬を出される

ドライソケットを引き起こしている場合、ほぼ100%感染を引き起こしているため、抗生物質や鎮痛剤が処方されます。

抗生物質は基本的には汎用性の高いペニシリン系やセフェム系の薬が

数日処方されることが多いですが、

症状が強い場合はマクロライド系やニューキノロン系が処方されることもあります。

鎮痛剤は酸性非ステロイド薬であるロキソニンやボルタレンが処方されることが多いです。

白いプニプニについてまとめ

抜歯後の白いプニプニしたものは、血餅と呼ばれる治癒するために必要なものです。

気になって舌で触ったり、歯ブラシを強く当てたりすると、血餅が取れることがあります。

血餅が取れると感染や痛みを伴うことがあるので、無理に触らないようにすることが大切です。

万が一血餅が取れてしまった場合は痛みが出なければそのままでも構いませんが、

痛みが出てきた場合はすぐにかかりつけの歯科医院を受診するようにしましょう。

image執筆  歯科医師/issy

国立歯学部卒業後、東京医科歯科大学歯学部附属病院で研修、現在勤務医として一般歯科、矯正歯科に携わっている。

日本口腔インプラント学会所属

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