仕上げ磨きはいつまで?年齢別ポイントと楽しく続けるコツ
赤ちゃんに可愛らしい前歯が生えはじめると、本格的な歯ブラシがスタートします。少し月齢が上がったころには、お子さまが歯ブラシを握るようになるでしょう。歯ブラシに慣れるためには、お子さまがご自身でブラッシングをすることがとても大切。ですが、汚れを落とすにはまだまだ練習が必要です。そこで重要となってくるのが仕上げ磨きです。今回は、年齢別のポイントや楽しく続けるコツ、仕上げ磨き卒業の時期などについて解説します。
仕上げ磨きの重要性とは?
仕上げ磨きは、生後6ヶ月くらいから開始するのが一般的です。この時期は、下の前歯が生えてきますので、それまでのトレーニング用の歯ブラシから本格的な歯磨きへの移行期となります。そして、仕上げ磨きは永久歯が生え揃う10~12歳位まで続けることが推奨されています。
この年齢まで仕上げ磨きが必要とされる理由としては、小学校高学年の時期は乳歯と永久歯が混在する時期だからです。大きさが違う歯が乱立するため段差ができやすく歯が磨きにくい状態なので、生えてきたばかりの永久歯が虫歯になりやすい時期でもあります。
また、 12歳までというと長く感じる方もいるかもしれませんが、この時期に生えてくる第6臼歯は一生を通じて最も噛む力が強い永久歯です。お子さmの歯を守ってあげるのは、親御さまの大切な役割です。虫歯にしてしまわぬよう、仕上げ磨きをしっかりと習慣にしましょう。
仕上げ磨きの年齢別ポイント
0~2歳
基本的な姿勢
お子さんを膝枕で寝かせ、左手で頭部を軽く固定し、口の中を覗き込むようにして仕上げ磨きを行います。
ポイント
慣れないうちは、ついつい力んでしまいがちです。しかし、強い力でゴシゴシしてしまうと、痛かったり苦しかったりと仕上げ磨きに苦手意識を持ってしまいます。歯ブラシを鉛筆のように握りソフトタッチで横磨きをするのがコツです。
3~5歳
基本的な姿勢
お子さまは起立。親御さまは膝立ちでお子さまの背後に位置します。後ろから回り込むように手をのばし仕上げ磨きをします。歯ブラシは、鉛筆のように握りソフトタッチで横磨きをしましょう。
ポイント
この頃の年齢は、自分の意見がハッキリとしてくる時期です。また、お兄さんやお姉さんへの憧れも強くなる時期です。身近な方にお願いして、仕上げ磨きをしている姿を見せていただくのもよいでしょう。また、パパやママの歯を磨いてもらった後、お子さまの仕上げ磨きをするのも有効です。
6~12歳
基本的な姿勢
お子さま、親御さまともに起立の姿勢で位置します。3〜5歳の時と同様に背後から回り込むように手を伸ばし、仕上げ磨きをします。
ポイント
乳歯と永久歯の混合期のため、小さなヘッドの歯ブラシを使用し細かな部分の仕上げ磨きをすることが大切です。歯ブラシのパッケージに惑わされることなく、お子さまのお口の中の状態に合わせて歯ブラシを選ぶようにしましょう。 適切なサイズがわからない場合は、歯科衛生士や歯科医師に相談してみましょう。
仕上げ磨きのメリット
親子のスキンシップ
仕上げ磨きを習慣化することで、親子の会話やスキンシップが生まれます。仕上げ磨きをするのは、成人までの約半分である12年ほどです。仕上げ磨きは、二度と戻ってこない育児の期間を親子で過ごす大切なひと時となってくれるでしょう。
磨き残しのチェック
すべての歯を完璧に磨ききるのは大人でも難しいとされています。ましてや、お子さまが自分一人でプラーク(歯垢)ゼロにするのは至難の業です。お子さまの歯は、親御さまの協力があってこそ守れます。
虫歯の早期発見
お口の中は、暗くて小さな空間です。そのため、自身で鏡を覗き込んでも、なかなか小さな虫歯には気づけません。特に、上の歯並びを自分で確認するのは大変です。そんなお子さまの虫歯にいち早く気づけるのが仕上げ磨きの時です。虫歯は自然治癒がありません。ぜひ、仕上げ磨きを早期発見&早期治療のきっかけとしてください。
仕上げ磨きの困りごとと対策
0~2歳 じっとしていてくれない
0〜2歳のお子さまは活発です。そのため、仕上げ磨きの際じっとしていてくれないと悩まれる親御さまも少なくないでしょう。そんな時は、別のものに意識を向けてみましょう。具体的には、歌を歌ったり音楽をかけたりといったことが有効です。小さなお子さまは、音に敏感です。親御さまが笑顔で楽しそうに歌っている時は仕上げ磨きの時間なんだと認識してくれるようになると、比較的スムーズな取り組みを期待できます。どうしても仕上げ磨きが難しい場合には、一時的にガーゼを用いるのも有効です。あまり神経質にならず、今日はガーゼで汚れを落とせただけでOK!と、親御さまがリラックスすることも大切です。
3~5歳 磨かせてくれない
この時期は、交互磨きが有効です。まず、お子さんに親御さまの歯を磨いていただきます。「ママ(パパ)の虫歯さんをやっつけてくれてありがとう。」とお礼を言い「今度はママ(パパ)が〇〇ちゃんの虫バイキンをやっつけるね!」と、仕上げ磨きをする許可をもらいます。自我がしっかりと芽生える時期なので、押さえつけて無理やり仕上げ磨きをすることのないよう、自尊心を大切にしながら取り組むとよいでしょう。
6~12歳 恥ずかしがる
小学生になるとお友達の輪が広がることにより、親御さまとのスキンシップが急に恥ずかしくなるお子さまもいらっしゃるでしょう。そうしたことをきっかけに、仕上げ磨きをやめてしまうケースが多いのですが、この年齢期は永久歯に生え変わるとても大切な時期です。お子さまに仕上げ磨きの重要性をしっかりと伝え、生え変わりが落ち着く12歳まで継続することが望ましいといえます。
仕上げ磨きを楽しく続けるコツ
0~2歳
親御さまの笑顔や歌、大好きな音楽をかけて取り組むなど、五感を楽しませながら取り組むとよいでしょう。
3~5歳
短期的なゴールとして、仕上げ磨きができる都度シールを貼ったり○を付けたりといったゲーム感覚で取り組むと、仕上げ磨きを楽しく続けられます。また、ノートがいっぱいになったらご褒美といった中期的なゴールも用意できると、より一層やる気も楽しみもも増すでしょう。
6~12歳
大人の会話ができるようになってくるこの時期には、長期的な目標が励みとなるでしょう。1年間虫歯ゼロだったら、虫歯予防週間に少し大きな贈り物をするのもよいでしょう。または、歯科医院にかかったつもり貯金をして、ご家族で旅行をするのもよいかもしれません。いずれにしても、虫歯を抑制することで、健康的にも経済的にも有意義な結果となることを伝えることが大切です。
まとめ
仕上げ磨きは、お子さんの歯を守ると同時に全身の健康も将来的な経済状態も守ります。虫歯の治療は、時間もお金もかかります。時は金なり。親御さまがお子さまに渡してあげられる一番大きなプレゼントが仕上げ磨きだといっても過言ではないかもしれません。いつまでもお子さまが健康であるように、こちらのコンテンツをぜひ参考にしてみてください。
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365dentist総監修 歯科医師/ゆきこ
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終了後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター