ムーシールドかプレオルソか?子供の反対咬合(受け口)早期矯正治療に使うマウスピース型矯正装置の違いとメリット・デメリット
先生、子供の受け口が気になっています。
ムーシールドとかプレオルソというマウスピースで早期矯正治療ができると聞いたのですが、それぞれ何が違うんですか?
ムーシールドとプレオルソは、子供の受け口の早期矯正治療では代表的なものですよね。分かりました!
今回は、ムーシールドかプレオルソか?子供の反対咬合(受け口)早期矯正治療に使うマウスピース型矯正装置についてお話しします!
ムーシールドとプレオルソって何?
ムーシールドとプレオルソは、マウスピース型の矯正装置です。
どちらも乳歯のある子供の小児矯正に用いられる装置で、受け口の早期矯正治療に用いられます。
大人になってから行うワイヤー矯正やマウスピース矯正とは違い、顎の発育に影響を与える舌や唇などの筋肉のバランスを整えたり癖を改善したりすることで、子供の受け口の改善・将来的な受け口の悪化を予防することができます。
ムーシールドとプレオルソの共通点と相違点
「子供の受け口の改善・将来的な受け口の悪化を予防する」という治療目標や理論は、ムーシールドもプレオルソもほぼ同じです。
しかし、プレオルソはムーシールドの改良版として開発された矯正装置であるため、形や素材の違いによって、期待できる受け口の改善スピードや使用感などがやや異なります。
ムーシールドとプレオルソの共通点と相違点を以下のポイントから比較・解説します。
- 特徴
- 効果
- 対象年齢
- 適用される症状
- 装着時間
- 耐久性
ムーシールドとプレオルソの特徴
ムーシールドとプレオルソには、以下のような特徴があります。
- ムーシールド→透明な色のマウスピース。上顎と舌を覆う形をしている。
- プレオルソ→青色のマウスピース。上顎と舌を覆う形をしており、前歯の裏側にバンパーがついている。
両者の大きな違いは、マウスピースをはめたときに前歯の裏側を支えるバンパーがついているかどうかです。
プレオルソには前歯の裏側にバンパーがついているため、上顎を内側から押し広げる力によって受け口の改善をより早く促すことができます。
また、ムーシールドとプレオルソにはSサイズとMサイズの3つのサイズがあり、プレオルソにはソフトとハードの2種類の硬さのマウスピースがあります。
サイズは顎の大きさに合わせて使い分けられることが多いです。
プレオルソは初めに柔らかいソフトタイプからはじめ、慣れてきたら治療効果の高いハードタイプに切り替えることができます。
ムーシールドとプレオルソの効果
受け口を改善する理論は両者とも同じです。
ムーシールドとプレオルソには、以下のアプローチによって受け口を改善する効果が期待できます。
- 舌の位置を正しい位置に導く
- 舌や唇の筋肉バランスを整える
舌の位置を正しい位置に導く
ムーシールドもプレオルソも舌を正しい位置に導くことで上顎の発育を促し、受け口を改善する効果が期待できます。
舌は口を閉じたときに上顎にピッタリと付くのが正しい位置です。
受け口の場合は、舌が上顎に付かず下がっているため、下顎を内側から押し広げて受け口を悪化させることが多いです。
ムーシールドやプレオルソは、マウスピースをはめることで舌を正しい位置に導く設計になっているため、舌の位置が原因で起こる受け口の改善が期待できます。
さらに、プレオルソの場合は前歯の裏側にあるバンパーによって、舌の位置改善に加えてマウスピースで上顎を内側から押し広げる力が働き、ムーシルドよりも早く受け口を改善できる可能性があります。
舌や唇の筋肉バランスを整える
ムーシールドもプレオルソも、マウスピースをはめることで舌や唇の筋肉バランスが整い、受け口を改善する効果が期待できます。
呼吸法と受け口には関係があり、お互いに影響を与えます。
- 舌の筋肉が弱くて正しい位置に置けない
- 唇の力が弱くて口が閉じられない など
このような理由で口呼吸になっていると、歯を内側に押し込む力と舌で内側から歯を押し出す力のバランスが乱れて、さまざまな不正咬合を引き起こす可能性があります。
ムーシールドやプレオルソは、マウスピースをはめることで舌や唇の筋肉バランスを整え、受け口の原因のひとつである口呼吸を改善します。
ムーシールドとプレオルソの対象年齢
ムーシールドとプレオルソの対象年齢は、以下の通りです。
- ムーシールド→3歳くらいから
- プレオルソ→3〜10歳くらい
ただし、子供が治療に協力できるかどうか、顎の発育状況などによって治療開始年齢が異なるため、適応については歯科医師の診断が必要です。
ムーシールドとプレオルソが適用される症状
ムーシールドとプレオルソは、適応できる症状が異なります。
- ムーシールド→受け口のみ
- プレオルソ→受け口、出っ歯、開咬、過蓋咬合
ムーシールドは受け口のみが治療対象となりますが、プレオルソは受け口以外に出っ歯、開咬、過蓋咬合を治療することができます。
ムーシールドとプレオルソの装着時間
ムーシールドとプレオルソの装着時間の目安は以下の通りです。
- ムーシールド→毎日、就寝中に装着する(1日8〜10時間が目安)
- プレオルソ→毎日、就寝中と日中1時間以上装着する
どちらも装着したまま就寝することになります。
装着している時間が長い方が効果が出やすいため、歯科医師によってはムーシールドもプレオルソのように就寝中と日中1時間以上の使用を指示することがあります。
治療期間は1年〜1年6ヶ月ほどが目安です。
ムーシールドとプレオルソの耐久性
ムーシールドとプレオルソは、素材が違うので耐久性も異なります。
- ムーシールド→ポリメタクリル酸メチル製の硬い素材。柔軟性はないが、劣化しにくく耐久性に優れる。
- プレオルソ→弾力のあるポリウレタン製。ムーシールドよりも柔らかいので装置感は良いが、劣化しやすく耐久性が低い。
ムーシールドは硬いプラスチックのような硬い素材でできているため、劣化しにくく耐久性があります。
プレオルソはムーシールドよりも柔らかいため、劣化しやすいです。数ヶ月使うと汚れや臭いで交換が必要になる場合があります。
ムーシールドとプレオルソはどちらを選ぶべき?
ムーシールドとプレオルソの治療目標や効果はほとんど同じです。
そのため、どちらを選ぶかは
- 担当の歯科医師の治療方針
- 通う歯科医院でムーシールドとプレオルソのどちらを扱っているか
- 費用
で決めると良いでしょう。
しかし、プレオルソはムーシールドの改良版として作られているため、装着感や機能面でプレオルソをおすすめされることが多いかもしれません。
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ムーシールドとプレオルソの費用|保険適用になる?
ムーシールドとプレオルソの費用目安は、以下の通りです。
- ムーシールド→5〜10万円ほど
- プレオルソ→3〜20万円ほど
ムーシールドやプレオルソを含め、早期矯正治療は保険適応外の治療となるため、費用は歯科医院によって異なります。
ただし、子供の早期矯正治療は医療費控除の対象になるため、扶養者の所得や治療費によっては、確定申告をすれば所得税の還付や住民税の減額が可能です。
まとめ
ムーシールドとプレオルソはマウスピース型の矯正装置で、「子供の受け口の改善・将来的な受け口の悪化を予防する」という治療目標や理論はほぼ同じです。
違う点は、プレオルソはムーシールドの改良版として開発された矯正装置であるため、形や素材の違いによって、期待できる受け口の改善スピードや使用感などがやや異なることです。
- 担当の歯科医師の治療方針
- 通う歯科医院でムーシールドとプレオルソのどちらを扱っているか
- 費用
などを考慮して、どちらを使用するか決めると良いでしょう。
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365dentist総監修 歯科医師/勝屋友紀子
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務
監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター