インプラントのリスクは?専門医がメリットデメリットを分かりやすく解説!

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インプラント

最終更新日 2022年10月15日

患者さん
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インプラントってちょっと怖い。メリットだけではなくデメリットも知ってから治療をはじめたいな。

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日本口腔インプラント学会
専門医

インプラントは良い治療方法ですが、知らないと不安になりますよね。

インプラント専門医がインプラントのデメリット、メリットについてお話します。

kPHem0YoGLXV3eKpf8 hGtF6g55PxLJx2LU1KVB0BPkhbPG js0itBX4PI0qRuJg4j K9c48HHT827FpAe4xlczFUonCKxoGyuX5FdfIHyEc6gm3XLxkZRyES8q3Y1k7jFxCGQ執筆・監修 Dr.Mori

大学病院助教をへて、歯科医院勤務 日本口腔インプラント学会専門医

インプラント治療とは?

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インプラント治療とは、歯を失った部分を補う補綴治療のひとつです。

顎の骨にインプラントという生体親和性の高いネジを埋め込み、

その上に上部構造という人工歯を被せて、噛める状態を再現する治療です。

インプラント治療のメリット

インプラント

長持ちする

歯を失った後に行う治療にはインプラント治療以外に、入れ歯の治療やブリッジによる治療があります。

インプラント治療は、10年後の残存率がが92~94%ほどで、

入れ歯やブリッジと比較して、最も高い成績のため長持ちするといわれています。

健康な歯を削らずに済む

ブリッジは失った歯の隣の歯を削って被せ物をする必要があります

インプラント治療の場合は、残っている歯を削る必要がなく、大切な歯質を守ることができます。

健康な歯に負担をかけない

ブリッジや入れ歯は、残っている他の歯(残存歯)に噛むことによって生じる咬合力を負担させてしまい、残っている歯の寿命を短くしてしまいます。

インプラント治療はインプラントに噛む力を負担できるため、他の歯に負担をかけることなく治療が可能です。

全身の健康へのメリットもある

インプラントは他の治療に比べて自然な噛み心地で食事ができる治療方法です。

歯を失うと食事が取りにくくなるため、やわらかいおかゆやしょっぱい物を食べるだけで済ませてしまい、タンパク質や食物繊維の摂取頻度が低下することが指摘されています。

患者さん
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歯が無いと食事は不便。

そのためにもインプラントで食事も楽しめるようになりたいです。

栄養が偏るのは心配。

すると全身の骨格筋肉量が低下し、一生涯での寝たきりの期間が長くなるリスクが問題になっています。

インプラント治療はこうしたリスクを低下させることができる可能性があり、その有効性は学会などで議論がなされています。

現在、その科学的な根拠はまだ十分ではありませんが、

ご自身の歯で食事を取り続けることは健康の第一歩であり、失われる歯を拡大させない補綴治療と予防が何よりも重要といえるでしょう。

インプラントのデメリット

インプラント

インプラント周囲炎

1つ目は、治療後にインプラントが歯周病の細菌に感染してしまうインプラント周囲炎を起こす可能性があることです。

10年間で14%のインプラントが、細菌に感染しているとの報告もあるほど身近なものです。

インプラント周囲炎を発症したインプラントの治療方法

インプラント周囲炎になってしまった場合は

細菌に感染した表面を削る

レーザーで殺菌する

パウダーを使用して除染する

など複数の治療法があり、

それでもだめな場合は、インプラントを除去することになります。

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日本口腔インプラント学会
専門医

最悪インプラント除去となってしまいますが、

治療方法もちゃんとあるので安心してくださいね。

手術を行う必要がある

2つ目は、手術時のリスクです。

インプラント治療は顎の骨にインプラントを埋め込む治療が必要ですので、外科的な治療を伴います。

顎の周辺には、神経や血管といった大事な組織が存在するため、そうした組織を手術時に傷つけてしまうリスクがあります。

昔はインプラントと骨が結合する力が弱かったため、できるだけ長いインプラントを使用していました。多くの骨を削る必要があり、手術時のリスクが高い時代でした。

しかし、現在ではインプラントと骨が結合する性能が向上したため、短いインプラントでも良好な治療が行えます。

そのため、手術前にCTの画像検査を行い、重要な組織をしっかり観察すること、使用するインプラントの長さや太さを設計し、手術に望むことで限りなく手術時のリスクを減らすことができるようになりました。

このあたりは、治療を担当する歯科医師に、しっかりと説明を求めて治療に望みましょう。

基礎疾患があると不向き

リスクのある全身疾患は主に、

・糖尿病

・骨粗鬆症

・感染性心内膜炎

があげられます。

糖尿病

糖尿病によって、高血糖状態が続くと

インプラントと骨が結合する能力が低下し、インプラントが抜け落ちたり

そもそもインプラントと骨が結合しないリスクがあります。

そのため、薬物療法、食事療法、運動療法を行い、血糖値をコントロールしながらインプラント治療に望むことが重要です。

骨粗しょう症

また、骨粗鬆症の治療をしている患者さんの中には、ビスフォスフォネート製剤や抗ランクル抗体と呼ばれる薬を内服中の方がいます。

そのような薬を内服中の方は、すぐにインプラント治療の手術を行うことができません。

そのため、お薬を何ヶ月か休薬する必要があり、担当医とよく相談をするようにしましょう。

感染性心内膜炎

心臓の弁の治療をしていて、感染性心内膜炎を発症するリスクのある方も、注意が必要です。

外科的な手術をする際には、抗生物質を多く内服する必要があります。

不必要にリスクを取ることは回避すべきですので、ブリッジや入れ歯といった選択肢を選択することが多いです。

インプラントのデメリットも理解して歯科医師と相談をしよう

歯を失うのは、はじめは1本や2本から始まります。

しかし残っている歯に負担をかける治療を行うと、健康な歯への噛む力によるの負担は増加し、

ドミノ倒しのように歯が失なわれていくのです。

インプラント治療は、独立して咬合力を負担してくれるため、

こうした歯を失う連鎖を止めることができるの治療方法です。

その一方でデメリットも存在します。納得してより良い治療を行うためにも信頼できる歯科医師からしっかり説明を受ける必要があります。

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