口臭外来で治った人と治らない人の違い。治療内容や費用、効果を紹介
公共交通機関や職場、大切な方と過ごす時間など、人との距離が近ければ近いほど気になるのが「口臭」です。せっかく仲良くなりたい人がいるのに口臭がコンプレックスで距離を置いてしまうなんて残念ですよね。こちらのコンテンツでは、口臭外来で治った人と治らない人の違いや治療内容、費用などについて解説します。
口臭外来で受ける検査
口臭の測定には、口臭成分のガス濃度を測定して口臭の原因を特定します。測定器は、オーラルクロマの測定器を使用します。主に大学病院などで検査するのが一般的です。検査の際は「硫化水素」「メチルメルカプタン」「ジメチルサルファイド」の口臭成分を3分割して測定を行います。口臭は発生源によってガスの成分が違うため、各成分を分解することで口臭の原因が特定できます。口臭を特定した後は、症状に応じて各科で適切な治療を受けることで、口臭の改善が期待できます。
口臭外来で行う治療とその費用
口臭外来は保険適用外の治療となっています。そのため、各医療施設によって価格が異なるのが一般的です。こちらでは、一般的な参考価格をご案内いたします。口臭外来のステップは主に3つあります。1つめが、事前検査です。こちらは本格的な治療に入る前の検査となり、価格は「11,000円」ほど。次いで、本格的な口臭検査となる検査1回目が「38,500円」、2回目以降は「22,000円」となっています。一般的な保険の歯科治療が5,000円前後だということを考えると、少々高額なイメージがあるかもしれません。
しかし、口臭の原因が病気であった場合には、健康保険で治療できます。口臭外来自体は、保険外診療となるため各医療施設によって検査内容や価格、治療が若干異なります。受診の際は、各病院にお問い合わせの上、訪院されるとよいでしょう。
口臭外来での治療効果
口臭外来では、症状に合わせて様々な治療が施されます。こちらでは、その治療法と合わせて、治った人と治らなかった人の違いについて解説します。口臭がある方の自覚症状として代表的なのが、以下の5つです。
- 口の中がネバネバしている
- 口の中や喉が乾いた感じがする
- 口の中がすっぱい感じがする
- 口の中に苦みを感じる
- なぜだか常に口腔内不快感がある
これらの症状を比較的日常から感じておられる場合、口臭がある可能性が高いといえます。口臭は歯周病菌が作り出すガスに起因することがほとんどなので、主な症状が口腔内に現れるのです。
しかし、ケースによってはいろいろな体内の要素が複雑に絡み合っていることがあります。そのため、洗口液などで口腔内ケアを行って改善しない場合には、体内の病変も疑う必要が出てきます。いずれにしても、臭いの原因となっているものを根本から断つことが口臭の改善につながります。
口臭の原因は千差万別。症状が異なれば治療方針も異なります。多角的に検査をし患者様各々に合わせた専用の治療計画を立案することが必要です。そのため、通信販売されている口臭防止グッズで口臭を誤魔化すのではなく、医療機関を受診し体質改善を含む原因そのものの改善に取り組むことで口臭の根本改善を期待できます。
カウンセリング
口臭外来を受診する際に、最も大事なのがカウンセリングです。この症状のヒアリングが今後の治療方針を決めるからです。カウンセリングをしっかりと行ってくれる医療機関は信頼をおけるといってよいでしょう。
高濃度HCLO水による口腔内治療
高濃度HCLO水とは「高濃度次亜塩素酸水」のことです。こちらは、強い殺菌効果が立証されています。口臭の原因で1番多いとされているのは歯周病です。これまで、口臭の原因を除去すべく歯周病や口臭治療の際、機械や手作業で歯ぐきの中にある汚れや歯石を除去するにとどまっていました。しかし、それだけでは細菌の完全除去が難しく、数カ月するとまた細菌が増えて再発することもありました。そこで、従来の方法と併用して用いられることになったのが「高濃度HCLO水」です。こちらを使用することで、口腔内の細部まで消毒効果がいきわたり原因菌の除菌が可能となったため長期的な症状改善がみられるようになりました。
プロバイオティクスによる身体内治療
プロバイオティクスとは、人体に良い影響を与える「微生物などを活用する処置」のことです。口腔内には、善玉菌と悪玉菌が常在していますが、その数は何兆個にも及びます。このバランスがくずれることで、歯周病原因菌が増殖し口臭が発生するのです。体質を改善していくことで口腔内細菌バランスを保ち、歯周病や口臭治療を有効にするのがプロバイオティクスによる治療です。これらの治療に用いられる主な薬剤として「プロデンティス」があげられます。こちらは、口腔内細菌の改善を目的としたサプリメントであり、現在世界52か国の医療現場で採用されているといわれています。また、こちらのサプリメントはノーベル医学・生理学賞診査本部として名高いカロリンスカ医科大学で唯一認められたメディカルサプリメントです。プロバイオティクスの概念に基づいたお薬の開発を行うBio Gaia社製であり、名誉ある大学の検査本部が認めた身体内治療サプリメントのため、信頼感を持って治療に取り組めることでしょう。
また、上記以外にも科学的に効果が証明されている「洗口液・細粒・専用ガム」などの処方を実施している医療機関もあります。こちらは、ご自宅での口臭予防にご利用いただけますので、カウンセリングの際に提案し治療計画の一部として取り入れてもらうのもよいでしょう。
口臭外来で治療を受ける前に知っておきたいこと
口臭外来を受診する前に行えることのひとつにセルフチェックがあります。こちらでは、セルフチェックの方法について解説します。
口臭がある方は、唾液自体に悪臭がある方が多い傾向にあります。そのため、ある程度はご自身で確認することができるのです。以下では、自己採点の方法をいくつかご紹介します。
呼気の臭いを嗅ぐ
空のコップに息を吐きだし蓋をします。いったん呼吸を整えたら蓋を外してコップの中の臭いを嗅ぎます。その際に、悪臭がするようであれば日頃から口臭がある可能性が高いといえます。
唾液の臭いを確認する
手指を清潔にし、指で歯や歯茎、舌に触れてみましょう。その後、指についた唾液の臭いを嗅いでみてください。その際、ツンとしたすっぱい臭いや苦みのある嫌臭がある場合は口臭がある可能性が高いでしょう。
舌の状態を目視する
舌の上が白くなっている場合「舌苔」という口臭の原因が増殖している可能性が高い状態です。この場合、かなりの確率で口臭があります。
舌苔を採取する
舌苔らしきものは確認できたが、悪臭があるかどうかの自己判断が難しい場合には舌苔を採取して確認してみましょう。メイクに使用するコットンパフなど軟らかいものを用いて舌の表面をぬぐいます。拭き取ったものを嗅いでみましょう。そちらに不快な臭いがあれば口臭があるという判断の目安になります。
口腔ケア補助器具の臭いを確認する
デンタルフロスや歯間ブラシを用いた際、臭いを確認してみましょう。これらに付着した歯垢に悪臭がある場合、日頃から口臭がある可能性が高いといえます。
上記で思い当たることは、いくつあったでしょうか。3つ以上当てはまった方は、口臭外来を受診してみることをおすすめします。受診をすることで、口臭の原因が判明するだけでなく、プロからケアの方法を学ぶことで、長期にわたる治療効果のキープを期待できます。
まとめ
口臭は、気になりだすと人との距離を遠くしてしまいます。セルフケアで改善できないと感じた時には、プロの力を借りるのが得策です。案外と思ってた以上に早期改善することもあるかもしれませんし、口臭外来を訪れたことで体内の病気を発見することにつながるかもしれません。いずれにしても、自己判断と自己解決に終始することなく、セルフケアと合わせて医療機関を上手に活用するのがおすすめです。口臭にお悩みの方は、こちらのコンテンツを参考に一度口臭外来に訪れてみてはいかがでしょうか。
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365dentist総監修 歯科医師/ゆきこ
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務
監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終了後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター