歯が痛くて死にそうなときにすることは?救急車を呼んでもよい?
虫歯や歯周病などは、初期のころには痛みを感じないことが多く、ある程度進行してから突然痛みが出ることがあります。
今回は、
- 歯が痛くて死にそうなときにどうしたらいいか?
- 救急車を呼んでもいいのか?
についてお話しします!
歯が痛くて死にそうなときはどんなとき?
歯が痛くて死にそうなときに起こっている可能性のあるトラブルには、以下のようなものがあります。
- 虫歯が重症化している
- 歯の神経に炎症が起きている
- 歯の根先に膿が溜まっている
- 智歯周囲炎
- 歯周膿瘍
- 口腔底蜂窩織炎
虫歯が重症化している
虫歯が重症化して大きくなり、歯の神経にまで虫歯が広がると、歯の内部でプロスタグランジンという痛み成分が作られます。
初期の虫歯は痛みがないため、ズキズキとした激しい痛みで死にそうなくらい歯が痛いと感じるころには、虫歯はかなり重症化しているといえます。
歯の神経に炎症が起きている
何らかの原因で歯の神経に炎症が起きた場合にも、死にそうなくらい歯が痛くなることがあります。
歯の神経に炎症が起きると、歯の内部に圧力がかかります。
しかし、歯の神経の周りは硬い組織で覆われており、圧力を逃す場所がほとんどないため、激しい痛みが生じます。
これを「歯髄炎」といいます。
虫歯が重症化して起こる場合や、強い歯ぎしりや食いしばりなどの刺激で起こる場合があります。
歯の根先に膿が溜まっている
歯の根の先に膿が溜まって、顎の骨の中に閉じ込められたような状態になると、死にそうだと感じるほどの痛みが出ることがあります。
この状態を「根尖性歯周炎」といいます。
歯の根の治療が終わったあとに起こることもある歯の痛みです。
智歯周囲炎
智歯とは前歯から8番目の親知らずのことです。
親知らずが原因で、歯茎や親知らずの周りの骨が炎症を起こすことがあり、膿が出てきたり頬が腫れたりして、ひどく痛みます。
炎症が悪化すると、顎の下にあるリンパ節や扁桃にまで波及し、発熱を伴う場合もあります。
歯周膿瘍
歯の根本付近の歯茎から膿が出てきたり、歯茎がブヨブヨと赤く腫れたりして、死にそうだと感じるほど痛むことがあります。
歯の根の先にできた膿による炎症(根尖性歯周炎)が原因の場合と、歯周病が原因の場合があります。
口腔底蜂窩織炎
虫歯や歯周病、智歯周囲炎などが悪化して炎症が広がっていくと、歯の周りだけでなく顎の骨、頬や舌の下などに膿が溜まり、口腔底蜂窩織炎が起こることがあります。
痛みや腫れがおこり、死にそうなくらい痛む可能性の高い症状です。
口腔底蜂窩織炎は舌の下から喉まで腫れるため、死にそうな痛みが起こるだけでなく、気道が狭くなり呼吸困難を引き起こす場合があります。
歯が死にそうなほど痛く、息苦しさを感じる場合は、放置しておくと死に至る可能性があるため、救急車を呼ぶレベルで急を要する事態といえます。
歯が痛くて死にそうなときに救急車を呼んでもいい?
歯が痛くて死にそうなとき、救急車を呼んでもいいか迷うことがあるかもしれません。
基本的には、一般的な救急外来には歯科医師がいないことが多いため、救急車を呼んで病院に行っても処置できません。
この場合は、救急車を呼ばずに歯医者へ行きましょう。
ただし、口腔底蜂窩織炎で呼吸困難を伴う場合は命の危険があるため、自家用車やタクシーを利用する、救急車を呼ぶなどして、急いで救急外来を受診しましょう。
口腔底蜂窩織炎による呼吸困難は、30〜45分で気道が塞がるほど喉が腫れることもあり、非常に危険です。
歯が痛くて死にそうなときの対処法
歯が痛くて死にそうな場合は、口腔底蜂窩織炎を除き、歯医者を受診しましょう。
歯医者に行けば、
- 膿を出す
- 麻酔をする
- 抗生剤を投与する
- 高周波を当てる
などして、比較的早く痛みを和らげたり取ったりできます。
歯医者をすぐに受診できない場合は、以下の方法で対処します。
- 痛み止めを飲む
- 患部を冷やす
- 血流がよくなることをしない
- 歯に穴が空いている場合は食べ物が詰まらないようにする
- 休日・夜間診療の歯科医院を探す
痛み止めを飲む
ロキソプロフェンやイブプロフェン、ボルタレンなど、痛み止めを飲んで歯医者に行くまでの痛みを抑えましょう。
市販でも、ドラッグストアなどで薬剤師の指導の下、購入できます。
ただし、炎症や痛みが強すぎる場合は、痛み止めが効きにくい場合もあります。
痛み止めは、効きにくいからといってたくさん飲んでも効果が高くなるわけではありません。
飲み過ぎは副作用が出る可能性もあるため、用法・容量はきちんと守るようにしましょう。
患部を冷やす
保冷剤や氷を入れたビニール袋などをタオルに包んで、顔の上から患部に当てて冷やします。
または氷を口に含んで、口の中から患部を冷やすのも有効です。
冷やすことで、痛みが軽減する可能性があります。
血流がよくなることをしない
炎症が起きているときは、血流がよくなると痛みが強くなります。
- お風呂に浸かる
- アルコールを飲む
- 運動する
など、身体の血流がよくなるようなことは避けましょう。
歯に穴が空いている場合は食べ物が詰まらないようにする
虫歯が大きくなって歯に穴が空いている場合、食べ物が詰まると痛みが強くなります。
食事をするときは、食べ物が詰まらないようにしましょう。
休日・夜間診療の歯科医院を探す
口腔保健センターや夜間診療を行なっている歯医者なら、休日や20時以降でも診察を受けられます。
痛み止めが効きにくいときや、夜中に死にそうなくらい歯が傷み始めたときなどは、休日や夜間診療を行なっている歯科医院を探してみましょう。
歯の痛みで死にそうなときは歯医者へ
死にそうなくらい歯が痛いときに救急車を呼んで病院に行っても、歯科治療設備がなく、歯科医師が居ないために対処できないことが多いです。
歯の痛みで死にそうなときは、基本的に歯医者を受診しましょう。
365dentistでは、お口に関するコラムや歯科医師運営のオープンチャットを通じて、あなたのお口のお悩みを解決するお手伝いをしています。
ぜひ遊びに来てくださいね!
関連記事:親知らず抜歯後に隣の歯が痛いのはなぜ??歯科医師が丁寧に解説
関連記事:矯正後の痛みはなぜ起こるのか?痛みを和らげる方法もご紹介!
365dentist総監修 歯科医師/ゆきこ
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務
監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター