【歯科医師解説】虫歯じゃないのに歯が痛いのはなぜ?奥歯が痛む理由と対処法を解説

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最終更新日 2023年5月3日


歯の痛みは一般的には絶えることが難しいとされています。

歯の神経は脳から出ている神経なので、とても感覚が鋭く、痛みが強くなると頭まで痛くなることもあります。

もちろん歯の痛みが出た際の原因は、虫歯が原因であることはあります。

しかし、中には虫歯以外の原因で歯が痛むことがあります。

虫歯以外で歯が痛くなる原因は、一体どういったものがあるのでしょうか。

①虫歯で歯が痛い原因は?

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歯は細菌が出す毒素(酸)によって溶けていきます

これが虫歯の始まりです。

歯は三層構造になっており、

表層からエナメル質、象牙質、歯髄(歯の神経)から構成されます。

虫歯が象牙質まで達すると人は痛みを感じることがあります。

なぜならば象牙質には歯髄に刺激を伝達する象牙細管という構造があるからです。

象牙細管が細菌に侵されたとしても、全て痛みが出るわけではありません。

もちろん歯髄まで虫歯が達するとさらに高確率で痛みを生じることになります。

虫歯は痛くなってから治療するのではなく、痛くなる前に治療することが大切です。

②虫歯じゃないのに歯が痛い理由とは?

実は歯が痛い原因は、虫歯だけではありません。

虫歯以外にもさまざまな原因があります。

歯は感覚がとても鋭敏な口の中にあります。

口の中には歯以外にも様々な組織があり、そこに炎症が起きたり、できものができたりすると歯が痛いと感じてしまうのです。

また口の中は話す、食べる、といった機能という面でも重要な器官です。

口の中の複雑な機能が、同時に働くことによって痛みがさらに増幅することもあります。

③虫歯じゃないけど歯が原因と対処法

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❶歯周病

歯周病は歯を支える歯周組織に炎症が起こる病気です。

歯が傷んでいるわけではありませんが、歯に近い組織が炎症を起こしているため、

歯が痛く感じることがあります。歯周病の原因は歯に付着する汚れ(プラーク)であることがほとんどです。

つまり、歯周病にならないためには、日頃のお口の中のケアがとても大切になってきます。

さらに定期的に歯科医院を受診し、メンテナンスしていくことも歯周病予防には有効です。

歯周病になってしまった場合も、歯科医院で適切な治療を受ければ、重度の歯周病以外は状態がよくなることが多いです。

❷副鼻腔炎

上顎の奥歯のあたりの痛みは副鼻腔炎の可能性があります。

副鼻腔炎の場合は鼻の鼻閉感やレントゲンを撮影した際に副鼻腔が白く映ります。

副鼻腔炎の原因は副鼻腔が細菌感染することです。

鼻から感染する場合と、歯から感染する場合の2通りがあり、

判断が難しいこともあります。

鼻からの感染の場合は耳鼻科を受診することをおすすめします。

歯が原因の場合は、歯の根からの感染であることがほとんどなので、

歯の根の治療をして細菌感染を抑える治療を行います。

❸咬合性外傷

歯に強い力がかかると、歯が打撲のような状態になることがあります。

これを咬合性外傷といいます。

咬合性外傷は歯ぎしりや食いしばり、強い咬む力によって引き起こされます。

歯は骨の仲間なので、骨が打撲したとしても安静して入れば治癒するように、歯も安静にして入ればやがて治癒することがほとんどです。

必要によっては咬合調整をしたり、マウスピースを作製したりします。

❹歯の破折

咬合性外傷が悪化すると歯が破折することがあります。

また、失活歯(歯の神経のない)においては歯が弱くなっているため、破折しやすいです。

中には生活歯であっても破折することがあります。

原因は咬合性外傷と同じように歯ぎしりや食いしばり、強い咬合力によって引き起こされます。

歯がどのように破折しているかにもよりますが、基本的に治療は抜歯となります。

❺腫瘍や嚢胞

歯にも腫瘍(できもの)や嚢胞(膿の袋)ができることがあります。

レントゲンやCT等の検査で発見されることが多いですが、歯に痛みが生じる場合があります。

原因はストレスや加齢、機械的刺激など様々ですが、原因が特定することが難しいのが腫瘍や嚢胞の特徴です。

炎症性の嚢胞や良性腫瘍の場合は摘出すれば良いですが、悪性腫瘍の場合は切除することになります。

一般の歯科医院で対応が難しい場合は、大きな大学病院等へ紹介となる場合があります。

④歯が痛くなったらどうしたらよい?

歯の痛みは通常は耐えることが難しいとされていますが、

中には痛み止めを飲んでその場を過ごしたり、自己判断で経過をみたりする方もいらっしゃると思います。

もちろん、数日は様子をみても構いませんが、痛みが強くなったり、継続的に痛みが続く場合、

不安な時は迷わずかかりつけの歯科医院を受診した方が賢明です。

歯の疾患は基本的に悪化するほど、歯を保存することが難しくなる可能性が高くなります。

歯を1本でも多く残すことが、口腔の機能を維持するためにはとても大切です。

まとめ

虫歯以外の歯の痛みは多岐に渡ります。

口の中はとても感覚が鋭敏なため、少しの痛みに対しても敏感になってしまいます。

歯が痛いと感じても安易に虫歯と自己判断するのは危険です。

歯が痛いと感じたら、まずはかかりつけの歯科医院を受診するようにしましょう。もちろん、歯が痛くならないように定期的にメンテナンスを行うことも大切です。

image執筆  歯科医師/issy

国立歯学部卒業後、東京医科歯科大学歯学部附属病院で研修、現在勤務医として一般歯科、矯正歯科に携わっている。

日本口腔インプラント学会所属

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