インビザラインの治療の流れ
近年どんどん新しいマウスピース矯正のシステム、会社がでてきていますが、現状マウスピース矯正治療にて圧倒的な世界シェアを誇るのは【インビザライン】です。
インビザラインは、マウスピース矯正の中でもっとも症例が多く、研究も多く、多くの矯正歯科医師によって認められている権威ある矯正治療システムです。
今回は、マウスピース矯正の代表格【インビザライン】の治療の流れについてご紹介します!
インビザラインの治療の流れ
型取り
インビザラインを始めるにあたり、オーダーメイドのマウスピースを作るための型取りが必要になります。
型取りには
・シリコンで型を取る方法
・口腔内スキャンで歯形を読み込む方法
の2種類方法があります。
【シリコンで型を取る方法】
おそらく歯医者に行ったほとんどの人が経験したことのあるであろう、ピンク色のドロッとしたものをニュッと押しつけられて固まるまで待つあの方法と同じです。
型の取り方は普通の被せものや詰め物の時と同じですが、シリコンはよく使われるあのピンク色の材料より少し流れが良いので、喉の奥の方にオエッときやすい人も多いです。
こちらは型取りしたものを梱包してアメリカのインビザラインの会社に郵送します。
インビザラインの会社で受理された後にスキャンされ、治療計画の作成、マウスピースの作成を行っていきます。
【口腔内スキャンで歯形を読み込む方法】
iTero(アイテロ)と呼ばれるスキャナーで口の中の状態をスキャンする方法です。従来の型取りよりずっと楽で、早く済みます。
スキャンした後はそのままオンライン上で転送されるため、シリコンを海外に郵送するのに比べて治療計画を立てたりマウスピースを作ったりするまでの時間が大幅に短縮されます。
また、シリコンの型取りは型を取るドクターの技術によって精度が左右されますが、口腔内スキャンの場合はドクターによる技術の差が出づらく、より細部まで再現することができます。
さらに、iTeroを導入しているクリニックは、無料カウンセリング時にもスキャンを行って最終的な仕上がりの予測を立ててくれるサービスがあることが多いです。
ドクターサイドから考えても口腔内スキャナー(iTero)の導入は、手間がかからず治療も早く進められて説明もしやすいのでメリットばかりなのですが、
価格がとても高いので手が出せないクリニックもあります。
iTeroを導入しているか否かで技術の差は測れませんが、その機能性から、インビザラインの症例数が多いクリニックにとってはやはり必要投資なので、口腔内スキャナー取り入れているかどうかは、そのクリニックがインビザラインにどの程度力を入れているかの指標にもなり得ると思います。
✅️型を取られる時の不快感の少なさ
✅️治療開始までのスピード
✅️カウンセリング時の説明のわかりやすさ
の3つの理由から患者さんにとってもメリットの大きい設備です。
クリンチェックの確認
クリンチェックとは、型取りの後に出来てくる治療計画のことです。
型取りがインビザラインの会社で受理された後、動かす量や理想的歯並びなどの基準データを元におおよその治療計画がクリニックに送られてきます。
クリンチェックのデータを見ることで、
✅️治療終了までに何枚のマウスピース交換が必要か
✅️最終的な歯並び
✅️どの歯をどの順番に動かすのか
✅️歯と歯の間を削ってスペースを作るタイミング(削らない人もいます)
✅️アタッチメント(歯の表面につける突起)を付ける歯
が確認できます。
ただし、ここで重要なのは、初めに送られてきた治療計画はあくまでインビザラインの会社が機械的に作ったものであり、ドクターの診断により作ったものではないということです。
歯を動かす量などは一応計算されていますが、明らかに動かない方向に動かすものであったり、骨がない位置に根を動かすような計画だったりするため、必ず各々のドクターによるチェック、治療計画の訂正が必要です。
インビザラインの会社が作ってきた計画を確認した後、動かす方向や動かす方法の修正、機能の追加などをリクエストして再度治療計画を作り直してもらいます。
インビザラインの治療の中で最も大事なのがこの工程です。
この作業にドクターの技術、経験が生きてきます。
治療計画の修正が終わった段階で、3⃣のマウスピースの発注に進みます。
マウスピースの発注
治療計画を立て終わったら、マウスピースを発注します。
海外の工場で作っているため、発注後、クリニックに届くまでは約2週間かかります。立て込んでいる時は3週間くらいかかることもあります。
治療途中でマウスピースをなくして再発注となった場合は、すでに一度読み込まれているものなので初回より少し早いですが、数日はかかるので紛失には気をつけましょう。
治療開始、まず最初の2枚でお試し
初めはマウスピースを付けた生活に慣れるために、アタッチメントと呼ばれる突起を付けずに使ってもらうことがほとんどです。
弱い力をかけ続けて歯を動かしていくシステムなので、一日20時間以上は頑張って付けましょう。
食べるときと歯磨きの時以外は必ず装着してください。
付けるのを忘れて数時間後に付けると、付けていない間に元に戻ってしまっていた歯に、大きく負担がかかり、最悪の場合は神経が死んでしまったりすることもあります。
アタッチメント装着、本格的にスタート
アタッチメントを装着してマウスピースを着けると、2枚目までとは違い、マウスピースがアタッチメントに支えられてフィットしてくるため、かなり窮屈に感じると思います。
ただ、この窮屈な感じが歯が動いている証拠です。正しい歯並びに近づくためにマウスピースの形に沿って歯が動き、長い時間着けていることで窮屈な感じが消えていきます。
窮屈な感じが弱くなったころに、次のマウスピースに交換することで、無理なく歯を次の位置まで動かすことが出来ます。
新しいマウスピースに変えたての頃が一番大事です。20時間以上頑張って装着し、毎日アライナーチューイーをしっかり噛んでフィットをよくしましょう。
1ヶ月〜3ヶ月に一度来院でチェック、IPR(歯と歯の間を削ってスペース作り)
来院時でドクターが見ているチェックポイントは以下です。
✅️アライナーが浮いていないか
✅️毎日何時間装着できているか
✅️アライナーチューイーを噛んでいるか
✅️新しい虫歯が出来ていないか
✅️アライナーを外したとき奥歯のかみ合わせがなくなっていないか
✅️揺れのひどい歯がないか
✅️治療予定の歯並びと実際の歯並びのずれ
✅️歯肉退縮などがおこっていないか
等です。
自分ではフィットしていると思っていても、がたつきがひどい1歯だけ浮いていたりすることもあります。
虫歯が大きくなっていた場合は一旦治療を中断して虫歯の治療を始める必要があります。
歯の揺れがひどくなっていたら一旦動かすのをお休みする場合もあります。
必要であれば型取りをし直して新しいシリーズを発注することになります。
また、チェックと同時に、治療途中で歯と歯の間を削るIPRという作業を行うこともあります。
基本的には削る量は0.5mm以下で神経から遠い部分のみのため痛みはありません。
途中で合わなくなってきたり終了後にもう少し修正したい時は再度型取り(リファインメント)
リファインメントとは型取りをし直して新しいシリーズをオーダーすることをいいます。
リファインメントの適応は以下の通りです。
・治療途中で浮いてしまい、そのまま進めても予定通り動かないと判断した場合
・シリーズ終了後にもう少し修正したい場合
・虫歯が出来てしまい詰め物によって歯の形が変わってしまった場合
途中でやり直しとなるとモチベーションが下がってしまいがちです。
しかし動き方には個人差がありますのでインビザラインの治療にリファインメントはつきものだと思います。
根気よく頑張りましょう!
納得いくまで5⃣〜7⃣を繰り返す
理想的な歯並びが仕上がるまで、上の5⃣〜7⃣の工程を繰り返します。
仕上がりが気に入った時点で再度型取り、リテーナーの作成
歯並びとかみ合わせが良くなったらリテーナーを作成します。
動かした後は歯が揺れており、元に戻ってしまいやすいため歯が安定するまではリテーナーで固定することが必要です。
クリニックによってリテーナーの装着時間や期間の説明は違うと思いますが、可能な限り長い間着けていた方が効果があります。
後戻りしてしまうと、また再治療が必要になることもあるのでリテーナーはしっかり使うようにしましょう。
インビザラインのリテーナーはビベラリテーナーと呼ばれ、最終的な歯並びの状態のマウスピースを3つもらえます。
手入れが悪いと着色したり汚れがたまったりしてしまうので、必ず毎日歯ブラシで磨き、必要に応じて洗浄剤も使用するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?今回はインビザラインの治療の流れについて詳しく説明しました。
治療開始後、どんな治療が待っているかの目安にしてください?
信頼出来るインビザラインの先生をお探しの方、カウンセリング前に質問しておきたい方、公式ラインで気軽にご相談下さい。
関連記事:矯正で使うリテーナーとは?
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執筆:歯科医師/ゆきこ
長崎大学歯学部卒業後、九州医療センター勤務を経て現在都内歯科クリニック勤務