最終更新日 2023年4月14日
歯をセラミックにしてきれいにしたいのですが、後悔する人がいると聞きました…
何がいけないんですか？
セラミックは、歯を削って被せ物をする治療なので、歯の健康の面であとから後悔する人もいます。
今回は、
- 歯をセラミックにすると後悔するといわれる理由
- 後悔しないために知っておきたいこと
についてお話しします！
後悔する人もいる! 歯をセラミックにするとは？
「歯をセラミックにする」とは、歯をひと回り削って、上からセラミック出てきた被せ物をすることです。
「差し歯」「セラミック治療」「セラミック矯正」と呼ばれることもあります。
- 早く白くて美しい歯になれる
- ほかの被せ物よりも虫歯にかかりにくい
- 白さの持続力がある
- 金属アレルギーの心配がない
- 歯茎が黒くならない
という点から、歯を白く美しくする施術として、検討されることがあります。
早く白くて美しい歯になれる
歯を削って被せるだけなので治療期間が短く、セラミック独特の天然歯に近い艶と透明感で、早く白くて美しい歯になれます。
また、セラミックを被せる際に歯の傾きを多少調整できるので、軽度の乱れであれば、歯並びもきれいにすることができます。
ほかの被せ物よりも虫歯にかかりにくい
セラミックは変形しにくいため、歯の根元とセラミックの境目に隙間ができにくいです。
そのため、劣化しやすい金属の被せ物よりも虫歯になるリスクが低いです。
白さの持続力がある
白い被せ物は、セラミックのほかに硬質レジン(プラスチック)やハイブリッドセラミック(セラミック+プラスチック)があります。
これらは、臭いや汚れを吸着しやすいプラスチックが含まれているため、変色しやすいです。
セラミックなら臭いや汚れに強いため、変色が起こりにくく、白さが長持ちしやすいです。
金属アレルギーの心配がない
セラミックは金属を使用しないため、金属アレルギーの心配がありません。
歯茎が黒くならない
金属を使用した被せ物は、長年の使用で金属の成分が歯茎の黒ずみを引き起こすことがあります。
セラミックは金属を使用していないので、このような心配はありません。
歯をセラミックにすると後悔するといわれる理由
歯をセラミックにすると後悔する理由は、以下の3つの点でデメリットがあるからです。
- 天然の歯への影響
- セラミックの寿命
- 費用
天然の歯への影響
- 健康な歯を削る必要がある
- 歯の神経を取る場合がある
- 天然の歯とまったく同じ色にできないことがある
- ホワイトニングしたときに天然の歯と色が合わなくなることがある
健康な歯を削る必要がある
セラミックを被せるためには、健康な歯を削って小さくする必要があります。
歯は粘膜や皮膚のように再生しないため、歯を削るのは、基本的に虫歯という病気になったときです。
しかし、セラミックの場合は「歯を白くきれいにしたい」という審美目的のために、本来は削る必要のない、健康な歯を大きく削ることになります。
歯を削ると、歯とセラミックの境目から虫歯や歯周病になるリスクが、天然の歯よりも高くなります。
変形しやすい金属の被せ物よりは、セラミックの方が虫歯にかかりにくいとはいわれていますが、リスクがあることに変わりはありません。
定期的なメンテナンスや日ごろの歯磨きなど、お手入れに気を付けないと、セラミックの土台となる歯がすぐにダメになってしまいます。
歯の神経を取る場合がある
セラミックの被せ物に必要な厚みや歯の状態によっては、歯の神経を取る場合があります。
歯の神経は、痛みを感じる神経、リンパ腺、血管でできており、歯に栄養を送る役割があります。
セラミックにするために歯の神経を取ると、歯に栄養が届かなくなり、歯質が脆くなります。
必然的に歯の寿命を縮めることになるため、美しさの代償としては、かなり大きなリスクを背負うことになるといえるでしょう。
天然の歯とまったく同じ色にできないことがある
セラミックは透明感があり、色のバリエーションも多いことから、天然の歯の色に限りなく近い色調を再現できます。
しかしながら、個人の歯の色はセラミックよりも圧倒的に種類が多く、天然の歯とまったく同じ色にはできないことがあります。
ホワイトニングしたときに天然の歯と色が合わなくなることがある
ホワイトニングとは、天然の歯を漂白して白くする施術です。
白めに作ったセラミックの色に合わせて天然の歯をホワイトニングすることはできますが、まったく同じ色にするのは難しいので、注意しましょう。
また、セラミックはホワイトニングで白くできません。
ホワイトニング前の天然の歯の色に合わせてセラミックを作った場合、天然の歯のホワイトニングをしたあとに、セラミックだけ色が暗くなって浮いてしまう可能性が高いです。
セラミックの寿命
- 寿命がくる前に作り直しが必要になることがある
- 10〜20年ほどで寿命がくる
10〜20年ほどで寿命がくる
セラミックは10〜20年で、
- 縁への着色
- セラミックを歯に固定している接着剤の寿命による脱落
- セラミックの摩耗 など
の理由により寿命がくるため、作り直しや治療のやり直しが必要になります。
必ずではないので、メンテナンスやお口の状況によっては30年以上使える場合もあるかもしれませんが、基本的に一生使えるものではありません。
寿命がくる前に作り直しが必要になることがある
セラミックはプラスチックと比べて弾性が低いので、割れたり欠けたりしやすいです。
特に歯ぎしりや食いしばり、歯をぶつけることによって、寿命がくる前に壊れてしまうケースもあります。
基本的に修理はできないため、壊れた場合はセラミックを作り直すことになります。
費用
- 保険適用外なので費用が高い
- メンテナンスや再作成費用がかかる
保険適用外なので費用が高い
審美目的、治療目的問わず、セラミックを使用した治療は保険適用外のため高額です。
相場は1本あたり10万円くらいですが、セラミックにはいくつかの種類があり、審美性や強度の高いセラミックはもっと高くなります。
また、歯科医院によっても費用が異なります。
メンテナンスや再作成費用がかかる
セラミックを寿命いっぱい使うためには、クリーニングや破損の有無などを確認してもらうためのメンテナンスが必要です。
また、メンテナンスを行なっても噛み合わせやお口の状況によっては、作り直しが必要になります。
自費治療のため、セラミックの保証範囲内であれば、再作成が無料になったり費用が割引されたりしますが、保証がない場合や保証範囲外の理由での作り直しには費用がかかります。
歯をセラミックにして後悔する前に知っておくべきこと
歯をセラミックにする前に、以下のことを理解・確認しておきましょう。
- 噛み合わせも考慮した治療が必要
- セラミックの色は必ず確認する
- 歯を白くする方法はセラミックだけではない
- 喫煙習慣のある人はセラミックの寿命も短い傾向がある
- 歯をセラミックにしたあとも歯磨きは必須
噛み合わせも考慮した治療が必要
セラミックは割れやすいため、噛み合わせを考慮して作成しないと、咬む力で割れてしまいます。
治療前のカウンセリングで、噛み合わせも確認してもらうようにしましょう。
セラミックの色は必ず確認する
セラミックの色は歯科医師や歯科技工士に任せきりにせず、色合わせと試適のタイミングで、自分でも確認するようにしましょう。
歯を白くする方法はセラミックだけではない
健康な歯であれば、歯を白くする方法はセラミック以外にもたくさんあります。
歯を漂白するホワイトニングなら、歯を削ったり神経を取ったりしなくても、白い歯になれます。
また、セラミックよりも歯を削る量が少ないラミネートベニアという方法もあります。
セラミックは歯の寿命に関わるリスクが大きい施術です。単純に健康な歯を白くすることが目的なら、ほかの方法も検討してみましょう。
喫煙習慣のある人はセラミックの寿命も短い
喫煙習慣のある人は、歯周病になりやすいため、セラミックの土台となる歯がダメージを受けやすいです。
セラミックを被せてきれいにしても、土台となる歯がダメになれば、すべてが無駄になってしまいます。
歯をセラミックにしたあとはメンテナンスが必要
セラミックは、金属やプラスチックと比べて虫歯や歯周病にかかりにくいといわれています。
しかし、間違ったケアをしたり、歯磨きを怠ったりすると、あっという間にダメになってしまいます。
セラミックをしたあとは、日々の歯磨きを丁寧に行い、定期的な歯医者でのメンテナンスと合わせて、土台となっている歯を守るためのケアを怠らないようにしましょう。
歯セラミックにして後悔しないためにリスクも理解しよう
歯をセラミックにすると、短期間できれいで白い歯になれます。
しかし、天然の健康な歯に与えるリスクが大きいため、後悔しないために、しっかりリスクを理解してから行いましょう。
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長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務
臨床研修終後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター
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