おしゃぶりは歯並びにどんな影響がある?おしゃぶりのメリットとデメリット、やめる時期と方法を解説
おしゃぶりは歯並びに影響するのか
赤ちゃんがおしゃぶりをしている姿は、なんとも可愛らしいものです。しかしながら、一方で歯並びへの影響を心配する声があるのも事実です。こちらのコラムでは、おしゃぶりがお子さんの歯に与える影響、メリットやデメリットなどについて解説します。
おしゃぶりが歯並びに与える影響
おしゃぶりは、使い方に気をつければとても便利なものです。しかし、使用方法を誤ってしまうと歯の正常な発育を阻害する危険性があります。間違った使い方は、歯並びがガタガタになる叢生(乱ぐい歯)や、ポカン口と呼ばれる開咬(かいこう)を引き起こします。また、顔貌にも大きな影響を及ぼす下顎前突(かがくぜんとつ)の原因にもなります。
おしゃぶりのメリット
おしゃぶりは歯並びに影響があるということは否めませんが、一方で良い点もあります。ここでは、おしゃぶりのメリットについて解説します。
摂取カロリーの調整
赤ちゃんは、ママのおっぱいが大好きです。そのため、抱っこをすると自然に母乳を求めます。その要求に応えて、その都度母乳をあげていると栄養過多になり肥満の原因となることがあります。これは、粉ミルクの場合はより顕著にその兆候が現れます。カロリーオーバーの抑制に、有効な手段といえるでしょう。
精神安定効果
お子さんの成長とともに1人遊びの時間が大切になっていきます。その際に、いきなり母子関係の離脱を行なってしまうとお子さんに大きな不安を与えてしまうことがあります。口元におしゃぶりがあることで、精神的な安定を促進することが可能です。
外出時の鎮静効果
外出は、赤ちゃんにとって大冒険です。日中、あまりに大きな刺激を与えすぎると、夜泣きの原因になることがあります。その理由は、脳の情報処理が追いつかないからです。おしゃぶりを活用することで安心感を誘発し、脳に加わる外出時のストレスを軽減することが期待できます。
指しゃぶりの抑制
赤ちゃんは、吸てつ反射と呼ばれる反射運動をします。指しゃぶりをするのも吸てつ反射の一環です。手指には雑菌が付きやすいため、衛生面の懸念があります。おしゃぶりは洗ったり消毒したりできるため、指をくわえたときに比べ衛生的だといえます。
鼻呼吸の促進
鼻呼吸は、侵入してきたウィルスや埃などを鼻毛でキャッチしてくれます。そのため、口呼吸に比べ、ウィルス感染のリスクが軽減されます。
おしゃぶりのデメリット
おしゃぶりにはメリットがある反面、注意すべき点もあります。こちらでは、歯並びへの影響のほかにどのようなことが懸念されるのか、おしゃぶりのデメリットについて解説します。
離乳の遅延
赤ちゃんは、母乳やミルクからの栄養摂取の時期を経て離乳食へと移行します。その際に、おしゃぶりが習慣化していることで、口元の心地よい刺激を求めるあまり離乳が遅延することがあります。
依存症
口元に何かがあることで安心感を得ることが習慣化してしまうと、時に依存的になってしまうことがあります。
衛生的不備による細菌感染
おしゃぶりが外気や唾液に触れることで、雑菌が発生することがあります。衛生状態が十分でない場合、おしゃぶり自体が細菌感染の根源となってしまうことがあります。
歯並びの乱れ
おしゃぶりのデメリットとして最も懸念されるのが歯並びの乱れです。歯牙の成長期におしゃぶりを使用することで、歯の成長が阻害されたり歯列の乱れに影響があります。
歯並びや噛み合わせに悪影響
おしゃぶりは、歯並びや噛み合わせに対して少なからず影響があります。出っ歯や開咬、下顎前突などは、おしゃぶりによる歯列の乱れが引き起こす代表例です。こちらでは、おしゃぶりが歯並びや噛み合わせに悪影響を与える例について解説します。
出っ歯
前歯の成長期におしゃぶりを使用することで、上下の歯の間に隙間ができ出っ歯になります。
開咬
前歯の間にものが挟まっている状態に慣れてしまうと、常に口がポカンと開いた状態になってしまうことがあります。これを開咬(かいこう)といいます。口が開きっぱなしになってしまうことで、口呼吸となります。口呼吸は、喉の粘膜に細菌やウィルスが侵入しやすく感染症にかかるリスクが高まります。
下顎前突
下顎前突(かがくぜんとつ)は、下顎が上顎よりも前に飛び出た状態をいいます。下顎前突になると、顔貌に大きな影響があるだけではなく口腔内の清掃状態にも悪影響を及ぼします。そのことにより、将来的な虫歯のリスクも高まります。
歯並びに影響しないおしゃぶりの使い方
おしゃぶりは、使い方に気をつけることで育児をサポートしてくれる心強いアイテムです。こちらでは、歯並びに影響しないために大切なことを解説します。
おしゃぶりを使用する時間を決める
寝る前だけ、朝起きた時だけといったように、1日の中で使用する時間を決めることが大切です。1日を通して使用することを習慣にしてしまうと、やめるタイミングで思ったように卒業できないことがあります。
やめるタイミングを逃さない
おしゃぶりは、2歳までに卒業できるのが理想的です。この時期からは本格的に歯牙の成長が見られます。正常な歯列の成長を阻害しないために、やめるタイミングを見逃さないようにしましょう。
おしゃぶりのやめ方
種類を変える
おしゃぶりをいくつか試しているうちに、お子さんが好きなおしゃぶりが決まってくると思います。卒業のタイミングでは、あえて種類の違うおしゃぶりを用意します。それによって、使い心地が悪くなりやめるきっかけとなることがあります。
遊びを増やす
体を使う遊びを増やすことで睡眠導入を促進します。おしゃぶりは、睡眠前後の寝ぐずりに使用する機会が多いため、素早く眠りにつけるよう十分に体を動かすことで、少しずつ使用回数を減らしていくとよいでしょう。
おしゃぶりを隠す
常に同じ容器ヘ保管し、そこからおしゃぶりを取り出すところをお子さんに見せておきます。一定期間それらを繰り返した後、おしゃぶりを容器に入れるのをやめます。空の容器をお子さんに見せ「おしゃぶりは無くなった」と説明します。
苦味の活用
なかなかやめられない時には、苦味を活用するのもよいでしょう。おしゃぶりの先端を苦味のあるピーマンやゴーヤなどの野菜に擦り付けます。ただし、野菜嫌いにならないように、お子さんの見ていないところでコッソリと行うのがコツです。この時に、薬を使用するのは絶対に避けてください。いざという時に薬を嫌がって飲まないことで病気の回復が遅れる懸念や、薬害の危険性があるからです。くれぐれも自然の食物を使用するようにしましょう。
赤ちゃんと会う機会をつくる
お子さんよりも小さな赤ちゃんと会う機会をつくるのも効果的です。赤ちゃんがおしゃぶりを使っているところを見せて「赤ちゃん可愛いね。おしゃぶりしてるね。」とお子さんに話しかけます。さらに、「◯◯ちゃんは、もう赤ちゃんじゃないからおしゃぶりは使わないんだよね。」と、お兄さんお姉さんへ成長することヘの自尊心をくすぐってみましょう。
正しい使い方で活用しましょう
おしゃぶりは、正しく使えばとても便利な育児のお助けグッズです。使用する際には、ぜひこちらのコンテンツを参考に、使い方ややめ方を工夫しながら活用してみてください。
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365dentist総監修 歯科医師/ゆきこ
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター