乳歯の生えかわりっていつ?抜ける順番や年齢を歯科医師が解説!
人間の歯は人生の中で1回、乳歯から永久歯に生え変わります。
生え変わる年齢や順番は様々ですが、一定の法則はあります。
これを知っておくと、子供の歯の抜けかわりの時期が適切なのか否か、あるいは抜けないのが問題ないかある程度理解できるようになります。
乳歯はなぜ歯が生えかわるのか?
人間は子供の時に乳歯から永久歯に歯が生え変わります。
これを二性歯性といいます。
なぜ二性歯性となっているかというと、顎が小さい子供の時にもし永久歯が生えてくると、永久歯が生えるスペースがないからです。
顎が成長して永久歯が生えるスペースがしっかりできてから、永久歯が生えてきます。
・乳歯から永久歯に生えかわる仕組み
乳歯が生えそろった後、乳歯の根の先の骨の中には永久歯の卵があります。
永久歯はまず歯冠という歯の頭の部分が出来上がった後、歯の根ができてきます。
永久歯の歯の根が半分ぐらいできてくると永久歯が生えてきます。
永久歯が生えてくるときは、乳歯の根を吸収しながら生えてきます。
乳歯の根がだんだん吸収されると、乳歯が揺れてきます。
揺れた乳歯はやがて抜け、永久歯が生えてきます。
・歯が生えかわる、生えてくる順番
乳歯は上下の歯で合計20本、永久歯は親知らずも含めて合計32本存在します。
乳歯から永久歯に歯が生えかわる順番は人種、性別等で異なりますが、日本人の一般的な永久歯が生えてくる順番というものはあります。
最初はまず
6歳臼歯(第一大臼歯)と呼ばれる最後方の乳歯のさらに後ろに生えてくる歯が生えてくるか(ここには乳歯はありません)、
下顎の1番前の歯(生えてくる歯は下顎中切歯)が生え変わります。
これを皮切りに、
下顎の前から2番目の歯(生えてくる歯は下顎側切歯)、
上顎の1番前の歯(生えてくる歯は上顎中切歯)、
上顎の前から2番目の歯(生えてくる歯は上顎側切歯)が生えかわり、
永久歯が上下顎で前歯8本と、奥歯4本が生えそろいます。
その後、
前から3番目である糸切り歯(生えてくる歯は犬歯)、
前から4番目の歯(生えてくる歯は第一小臼歯)、
前から5番目の歯(生えてくる歯は第二小臼歯)が生え変わります。
これでお口の中は乳歯が完全になくなり、24本の永久歯が存在することになります。
その後7番目の歯(第二大臼歯)、8番目(親知らず)の歯が順次生えてきます。
・歯が生えかわる、生えてくる年齢
6歳臼歯である第一大臼歯はその名の通り6歳前後で生えてくることが多く、
下顎の中切歯も6歳前後で生えかわることが多いです。
下顎の側切歯、上顎の中切歯、上顎の側切歯は6歳から7歳で生えかわり、
8歳までには永久歯が上下顎で前歯8本と、奥歯4本が生えそろいます。
8歳から11歳にかけて、犬歯、第一小臼歯、第二小臼歯が乳歯にかわり生えわります。
12歳までには永久歯24本が生えそろい、
やがて12歳臼歯である第二大臼歯が生えてきます。
親知らずである第三大臼歯は個人差が大きく、早いと高校生くらいから生えてくる場合もあり、
遅い場合は25歳を超えてから生えてくることもあります。
歯がなかなか抜けない、生えかわらない理由は?
❶永久歯が存在しない
永久歯が存在しない場合は乳歯の根の吸収が起こらないため、乳歯が適切な時期に抜けることはまずありません。
永久歯が存在しない確率が高いのは、前から2番目の歯と前から5番目の歯です。
永久歯が存在しない場合は乳歯を大切に残していくか、思い切って抜歯する場合もあります。
❷永久歯が正常に生えてきていない
永久歯が曲がって生える、骨と癒着してでてこない場合は乳歯の根が正常に吸収されず、乳歯が抜けないことがあります。
適切な時期に永久歯を誘導する、あるいは矯正治療が必要になることもあります。
❸顎の成長が悪い場合
顎の成長が悪いと永久歯が生えてくるスペースが足りないため、永久歯が生えてくるのが遅くなり、乳歯が抜けないことがあります。
顎の成長を促すために、床矯正などの矯正治療が必要になります。
❹骨の中にできものがある場合
骨の中にできものがあると、永久歯が生えてくるのが阻害されます。
よって適切な時期に乳歯が抜けません。特に子供の時期に多いのが、歯牙腫という良性腫瘍です。
歯牙腫がある場合は対応できる歯科医院で摘出する必要があります。
まとめ
歯が生えかわる時期は、お口の中の変化が激しいため、不安になることも多くあります。
子供の歯が適切な時期よりも早く抜けたり、また生えかわる時期にも関わらず抜けない場合、心配であればかかりつけの歯科医院を受診しましょう。
執筆 歯科医師/issy
国立歯学部卒業後、東京医科歯科大学歯学部附属病院で研修、現在勤務医として一般歯科、矯正歯科に携わっている。
日本口腔インプラント学会所属