歯並びが悪いのは遺伝が原因?
「歯並びは遺伝するってほんと?」
「父が受け口なんだけど、将来的に私も受け口になるのかな?」
このような疑問をお持ちの方に、悪い歯並びは遺伝が原因なのかを解説します。
歯並びが悪いのは遺伝する
歯並びは父親や母親と身長や体型、顔が似るのと同じように遺伝します。
ただし、歯並びが悪くなる原因は遺伝だけではないため、歯並びそのものが遺伝するのではなく、
悪い歯並びの原因となる歯や顎の大きさや形が遺伝して、最終的に歯並びが悪くなると考えると良いでしょう。
歯並びが悪くなる原因は「先天的要因」と「後天的要因」のふたつに分かれます。
これらの要因によって上下の顎の大きさや顎と歯の大きさのバランスが乱れて、歯並びが悪くなります。
先天的要因とは、顎の骨格や歯の大きさの遺伝のような生まれ持った要因のことです。
反対に、後天的要因は舌の動かし方や指しゃぶりなどの遺伝とは関係ない要因のことを指します。
歯並びの悪さは80%が遺伝による先天的要因が原因で、残り20%は後天的要因が原因といわれています。
顎や歯の大きさは遺伝によって決まることが多いため、100%ではありませんが、母親か父親のどちらかの歯並びが悪い場合は子どもの歯並びも悪くなる確率が高いです。
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遺伝で歯並びが悪くなる理由
遺伝で歯並びが悪くなる理由は、歯や顎の大きさのバランスの乱れを引き起こす遺伝の力が強いからです。
歯並びには遺伝のほかに舌などの癖が影響しますが、仮に歯並びを悪くする可能性がある癖を完璧に取り除いたとしても、歯や顎の大きさとバランスの乱れを引き起こす遺伝の力が強ければ歯並びは悪くなります。
歯並びが悪くなる原因のうち、遺伝が関係しているものは以下の3つです。
- 歯の大きさ
- 上下の顎の大きさ
- 唇や舌などの口の筋肉
歯の大きさは遺伝、顎の大きさや口の筋肉は遺伝的要素に加えて日ごろの癖が影響します。
歯の大きさ
歯の大きさは両親からの遺伝で決まります。顎の大きさよりも歯が大きいと、歯が並ぶスペースが足りなくなって歯並びが悪くなります。
遺伝による歯の大きさは基本的に変えられないので、顎の大きさと口の筋肉がどのように発育するかによって歯並びが良くなるか悪くなるかが決まります。
上下の顎の大きさ
上下の顎の大きさのバランスが乱れると、出っ歯や受け口、開咬などの不正咬合を引き起こします。
上下の顎のどちらかが小さいか大きい、または上下ともに大きくて前にせり出した形をしているなど、顎の大きさのバランスが悪いことが遺伝している場合は、歯並びが悪くなる可能性があります。
また、日ごろの癖も上下の顎の大きさに影響します。
舌を前に押し出す癖や3歳を過ぎても指しゃぶりをする癖、頬杖をつく癖などは、顎の形を変形させたり発育を邪魔したりするだけでなく、遺伝的な歯並びの悪さを加速させる可能性があるので注意しましょう。
唇や舌などの口の筋肉
唇や舌などの口の筋肉は、遺伝と癖の両方から影響を受けます。
遺伝的に唇の筋力が弱かったり口を閉じにくい唇の形をしていたりする場合は、外側から歯を押さえつける力が働かないため歯が外に広がりやすくなり、出っ歯になることがあります。
舌も同じように、遺伝的に舌の力が弱かったり舌の裏の筋が大きかったりして口を閉じたときの舌の位置が悪いと、受け口や開咬を引き起こします。
また、舌を前に突き出す癖や口をすぼめる癖がある場合は、それ自体が悪い歯並びを引き起こす原因となりますが、遺伝的に出っ歯や受け口の要素を持つ人の歯並びをさらに悪化させることがあります。
遺伝で歯並びが悪くなりそうな人が気をつけたいこと
家系的に出っ歯や受け口の人が多い場合は、遺伝によって歯並びが悪くなる可能性があります。
歯並びには子どものころの生活習慣も関係してくるので、遺伝的に歯並びが悪い可能性がある場合は、以下の点に気をつけると良いでしょう。
- 3歳を過ぎてからの指しゃぶりは止める
- 舌で歯を押したり前に出したりする癖を治す
- 頬杖をつかないようにする
- 姿勢を正す
- 硬いものも食べる
- 虫歯にならないようにする
3歳を過ぎてからの指しゃぶりは止める
指しゃぶりをすると前歯に力がかかって歯が外に傾き、出っ歯や開咬などを引き起こします。また、顎の形が狭窄してVの字になり、骨格的な不正咬合を引き起こすこともあります。
赤ちゃんのうちの指しゃぶりは誰にでもあるので異常ではありませんが、通常は3歳くらいまでに消えていくものです。
そのため、3歳を過ぎても指しゃぶりが続く場合は悪癖とされます。
日中の指しゃぶりの場合は手を動かす遊びや外で体を動かす遊びを増やしたり、寝るときの指しゃぶりの場合は子どもが安心するように寝る前に本を読んだり手を握ってあげるなど、止めるように促したほうが良いでしょう。
関連記事:指しゃぶりは歯並びに関係する?
舌で歯を押したり前に出したりする癖を治す
舌で歯を押したり前に突き出す癖がある場合は、意識的に治すようにすると良いでしょう。
舌で上の前歯を押す癖がある場合は出っ歯、下の前歯を押す癖がある場合は受け口、前に突き出す癖がある場合は出っ歯や受け口に加えて開口を引き起こす可能性があります。
頬杖をつかないようにする
頬杖をつくと片方の顎にだけ力がかかるので、顎が曲がって噛み合わせがずれてしまうことがあります。成長期の子どもは骨が柔らかく、特に影響を受けやすいので注意しましょう。
姿勢を正す
噛み合わせは全身の骨のバランスとも関係しています。姿勢が悪い場合は、良い姿勢をキープするように心がけましょう。
例えば、姿勢が悪くて猫背になっていると胸が開かない分、呼吸がしにくくなって口が開きます。
口が開くと舌や下顎が前に出やすくなるので、この状態が続くと下顎が前に出る形が定着して受け口となります。
また、身体を傾ける姿勢が続くと噛み合わせの位置がずれて、顎が曲がる可能性もあります。
硬いものも食べる
子どものうちに柔らかいパンやハンバーグ、グラタンなどの柔らかいものばかり食べていると、咬む機能を正常に獲得できずに顎の発育が悪くなることがあります。
人間がある程度硬いものを食べるときは、前歯で噛み砕く動きと奥歯ですり潰す動きを満遍なく使います。
しかし、柔らかいものは奥歯をあまり使わなくても食べられてしまうため、顎が発達しないことがあります。
子どものうちに人参やごぼうのような、ある程度歯応えのあるものも食べるようにしましょう。
虫歯にならないようにする
虫歯で歯がなくなってしまうと、空いたスペースに周りの歯が倒れ込んでくるので、歯並びが悪くなります。
これは永久歯になってからも起こりますが、乳歯の段階でも注意が必要です。
乳歯は生え変わるので虫歯になっても良いと考える人もいるかもしれませんが、虫歯で本来の時期よりも早く乳歯がなくなってしまうと、新しく生える永久歯が正しい位置に生えてこずに、歯並びが悪くなることがあります。
また、虫歯で乳歯がなくなることで変な噛み癖がつくと、顎や顔の歪みを引き起こすこともあります。だらだらと完食するのを控え、子どもは仕上げ磨きをするなどして虫歯予防に努めましょう。
遺伝による悪い歯並びを改善するなら
歯並びは遺伝による歯や顎の大きさで悪くなることがあります。
- 父や母の歯並びが悪いから、子どもの歯並びも悪くなるかも…
- 子どもの歯が大きい気がするけど、歯並びは大丈夫かしら?
など、遺伝による歯並びの悪さが気になる方は歯科医院へ相談してみましょう。
365dentistでは歯科医院探しをお手伝いいたします。
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また、気軽に同じ悩みの人たちに相談したい、話してみたいという場合はLINEオープンチャットがお勧めです!
365dentist総監修 歯科医師/勝屋友紀子
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務
監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター