歯ぎしりや食いしばりにするボトックスって何?歯医者でもボトックスはできるの?
ボトックスが歯ぎしりや食いしばり改善に効果的だと聞きました。
歯医者でもボトックスができるんですか?
はい!目的によりますが、歯医者でもボトックスはできます。
今回は、歯ぎしりや食いしばり改善のために、歯医者で行うボトックスについてお話しします!
歯ぎしりや食いしばりに効果的なボトックスとは?
ボトックスは、美容外科で筋肉の過度な発達や緊張が原因で起こるシワ取りや、顎のエラ張りの改善に用いられることで有名です。
歯科でも、歯ぎしりや食いしばりの治療のために使われることがあります。
ボトックスは筋肉の動きを鈍くするタンパク質の一種
ボトックスとは、筋肉を動かすときに脳から伝わる神経伝達物質「アセチルコリン」の分泌を少なくするタンパク質です。
注入した部位の筋肉の動きを鈍くすることで、過度な緊張や発達を抑えて、筋肉を小さくする作用があります。
美容外科だけでなく歯科でも使われる
ボトックスは、歯ぎしりや食いしばりの治療を目的として歯科でも使われます。
歯ぎしりや食いしばりを行うときに動く筋肉へボトックスを注入することで、噛み締める力を弱めて、歯や口周りの筋肉、顎の関節への負担を抑えて守ることができます。
歯ぎしりや食いしばりは、歯や口周りの筋肉、顎の関節にダメージを与えるため、なくすことが望ましいです。
しかし、癖の一種である歯ぎしりや食いしばりをなくす確実な治療法は確立されていません。
そのため、歯ぎしりや食いしばりがある場合は、歯や口周りの筋肉、顎の関節へのダメージをできるだけ少なくするための対症療法が行われています。
その中の一つが「ボトックス」です。ほかには、就寝時にマウスピースを使用して歯ぎしりや食いしばりから歯を守る方法があります。
歯ぎしりや食いしばり治療でボトックスを打つ筋肉
歯ぎしりや食いしばりのときに使われる筋肉は、以下の3つです。
- 咬筋
- 外側翼突筋
- 側頭筋
これら3つは、顔の側面にある筋肉です。
歯ぎしりや食いしばりで筋肉が発達して大きくなっている場合は、ボトックスで筋肉が細くなり、フェイスラインがスッキリするという嬉しい効果も期待できます。
ボトックスの効果の持続期間
ボトックスの効果は永久的ではないので、定期的に行う必要があります。
効果の持続期間は、最大で4〜6ヶ月ほどです。
注入後2〜3日で効果が現れ始め、7〜14日でピークを迎えてから、4〜6ヶ月かけて少しずつ効果が薄れていくイメージです。
ボトックスは、回数を重ねることで効果の持続期間が長くなる傾向があり、効果もはっきりと現れるようになっていきます。
効果の現れ方、歯ぎしり・食いしばりの改善のために必要な回数には、個人差があります。
ボトックスを行う回数は、歯ぎしりや食いしばりの状況に応じて、歯科医師と相談して決めましょう。
歯ぎしりや食いしばり改善のボトックスは保険適用?|ボトックスの費用
ボトックスを用いた歯ぎしり・食いしばり治療は、保険適用外です。
費用相場は14,000〜60,000円で、歯ぎしりや食いしばりの強さや筋肉の状態などによって費用が変わります。
「口顎ジストニア」という病気によって、口周りの筋肉が過活動を起こして異常に発達している場合は、保険適用にてボトックスが可能ですが非常にまれです。
また、口顎ジストニアへのボトックス治療を行っている歯医者も少ないため、保険適用でボトックスを行うのは難しいでしょう。
歯ぎしりや食いしばりのボトックス|美容外科と歯医者の違い
美容外科と歯医者で行うボトックスの違いは、施術目的とボトックスが医療費控除の対象になるかどうかです。
施術目的が違う
歯ぎしりや食いしばりを治すためにボトックスを注入する筋肉は、美容外科で小顔にするためにボトックスを注入する筋肉と同じで、両者の施術方法も同じです。
しかし、施術の目的が違います。
- 歯医者→歯ぎしりや食いしばりの治療が目的
- 美容外科→小顔やシワ取りなどの美容が目的
歯医者でのボトックス注入は「歯ぎしり・食いしばり改善の副作用的な効果として、小顔になる可能性がある」のに対して、美容外科のボトックス注入では「理想のフェイスラインを作ることができる」というような違いがあります。
歯医者で行う場合は医療費控除の対象になる
歯医者で行うボトックスは、保険適用外ではありますが、医療費控除が申請できます。(※)
歯ぎしりや食いしばりが原因で起こる歯の咬耗、咬合性外傷、顎関節症などの症状を改善・予防するために行うことから、健康維持のための治療という意味があるとされているからです。
一方、美容外科でのボトックスは完全に審美目的のため、医療費控除は申請できません。
※歯医者でもエラ張りや口周りのシワ取りを目的としてボトックスを行う場合は、医療費控除の対象外です。
歯ぎしりや食いしばり改善のためにボトックスをするメリット
歯ぎしりや食いしばり改善のためにボトックスを行うと、付随して以下のようないい効果が期待できます。
- 歯ぎしり・食いしばりの改善
- 顎関節症の予防・改善
- 歯ぎしりや食いしばりによる咬合性外傷の予防・改善
- 歯ぎしりや食いしばりによる歯周病の悪化予防・改善
- 歯のすり減りや破折の予防
- エラ張りの改善(小顔効果)
- 顎の先にあるシワの改善
- ガミースマイルの改善
- 歯ぎしりや食いしばりからくる頭痛や肩こりの改善 など
歯ぎしりや食いしばり改善のためにボトックスをするデメリット
歯ぎしりや食いしばり改善のためにボトックスをするデメリットは、主に5つです。
- 効果は永久的ではない
- 歯科医師の技量によって効果に差が出やすい
- 妊活に制限がかかる
- 妊娠中・授乳中は施術できない
- 一時的な副作用がある
効果は永久的ではない
ボトックスの効果は最大で4〜6ヶ月です。
永久的なものではないため、効果が薄れてきたタイミングで、必要に応じて再度ボトックスを注入しなくてはいけません。
歯科医師の技量によって効果に差が出やすい
歯ぎしりや食いしばりを改善するためのボトックスの適正量や注入部位の微調整は、歯科医師の経験や感覚で行われます。
そのため、歯科医師の技量によっては、効果をあまり感じられないことがあります。
妊活に制限がかかる
ボトックスを行う場合は、術後に女性は2カ月、男性は3カ月は避妊するという原則があります。
ボトックスの影響による、流産や奇形児のリスクが100%否定されていないためです。
妊活を行っている方は、歯科医師にその旨を伝えてタイミングを相談しましょう。
妊娠中・授乳中は施術できない
妊娠中・授乳中も妊活中と同じく、胎児の安全が100%確認されていないため、施術できません。
一時的な副作用がある
ボトックスにはダウンタイムがありませんが、術後1週間くらいは注入部位の腫れ、内出血や痛み、筋肉や顎の重さやだるさが出ることがあります。
また、噛む筋肉の動きが弱くなるので、硬いものが噛みにくいなど、食事に違和感が出る場合もあります。
時間の経過とともにボトックスの効果が弱くなれば、自然と改善しますが、人によっては気になるでしょう。
歯ぎしりや食いしばりがひどい人はボトックスも検討しましょう
美容外科で使われるイメージのあるボトックスは、歯医者でも歯ぎしりや食いしばり改善の目的で使われることがあります。
歯ぎしりや食いしばりで歯や顎の関節、口周りの筋肉に悪い影響が出ている人は、ボトックスも検討してみるといいでしょう。
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365dentist総監修 歯科医師/勝屋友紀子
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務
監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター