噛み合わせの治療方法は矯正だけじゃないの?
先生、噛み合わせって矯正しなくても治せるんですか?
はい。矯正以外にも噛み合わせを治す方法はありますよ!
今回は、噛み合わせを治療しないとどんなことが起こるのか、矯正のほかにどんな治療法があるのかをお話しします。
噛み合わせを治療しないとどんなことが起こるの?
噛み合わせは、上下左右、前後に歯や顎の位置がズレることで悪くなります。
噛み合わせが悪いと、以下のような問題が起こる可能性があります。
- 歯・歯周組織(※)へのダメージ
- 知覚過敏
- 顎関節症
- 全身へのダメージ
- 偏頭痛
- 肩こり
- めまい
- 耳鳴り
- 腰痛 など
これらは、噛み合わせのズレが顎の関節のズレを引き起こし、最終的に口周りや首、全身の筋肉や骨のバランスにズレが波及することで起こります。
※歯周組織とは、歯茎や骨などの歯を取り囲む組織のこと。歯を支えるのにとても重要なものです。
歯・歯周組織へのダメージ
噛み合わせが悪くて、一部の歯だけに噛む力がかかり続けると、
- 歯が欠けたり奥歯がすり減ったりして噛み合わせがさらに悪くなる
- 歯の神経に炎症が起きて痛みが出る
- 歯周組織が溶けて、歯がグラグラと揺れる
- 歯周病が悪化する
など、歯の寿命に関わる問題を引き起こすことがあります。
噛み合わせが悪いことで、歯や歯周組織に問題が起こることを歯科では「咬合性外傷」といいます。
虫歯や歯周病でないとしても歯を失う可能性がある病気のため、注意が必要です。
知覚過敏
咬合性外傷により歯周組織がダメージを受けると、歯茎が下がる「歯肉退縮」が起こることがあります。
歯肉退縮により歯の根元が露出すると、知覚過敏になりやすいです。
冷たいものがしみたり、歯磨きのときに歯ブラシが当たると痛みを感じたりするのが知覚過敏です。
顎関節症
噛み合わせが悪いと、顎の位置もズレている可能性があります。
顎の位置がズレると、顎の関節に負担がかかるため「顎関節症」になる可能性があります。
顎関節症になると顎の関節がスムーズに動かなくなり、口が開かなくなる、耳の前あたりが痛くなるなどの症状が出ます。
全身へのダメージ
噛み合わせが悪いと、噛む筋肉に負担をかけることがあります。
噛む筋肉に負荷をかけると、筋肉にかかった負担を分散するために全身の筋肉のバランスが乱れて、偏頭痛・肩こり・めまい・耳鳴り・腰痛 などの問題を引き起こすことがあります。
噛み合わせの治療が必要になる原因
以下のようなことが引き金となって歯や顎の位置がズレることで、噛み合わせが悪くなると治療が必要になる場合があります。
- 歯並び
- 噛み合わせが低い
- 日ごろの癖
- 片方だけで噛んでいる
- 頬杖
- 指しゃぶり など
歯並び
歯が凸凹している、出っ歯、受け口など、歯並びが悪いと顎の位置がズレていたり、噛んだときの負担が一部の歯にだけかかっていたりするため、噛み合わせが悪くなります。
噛み合わせが低い
もともと歯の高さがない「過蓋咬合」や、虫歯治療で奥歯に入れた詰め物や被せ物の高さが足りないことで、噛み合わせが低くなって悪くなる場合があります。
日ごろの癖
片方だけで食べ物を噛む、頬杖、指しゃぶりなどは、歯や顎の位置を狂わせることがあり、噛み合わせが悪くなる原因になります。
噛み合わせの治療方法
噛み合わせは、矯正で歯の位置を動かしたり、「スプリント」というマウスピースを使って顎や筋肉の位置を調整したりして治療します。
また、入れ歯、歯科用樹脂やセラミックで歯の高さを変えて噛み合わせの改善を図る方法もあります。
歯を削らないものと削るものがあるので、ご紹介します!
- 歯を削らない方法
- 矯正
- スプリント(マウスピース)の使用
- 歯科用樹脂の盛りつけ
- 歯をほとんど削らない方法
- オーバークラウン義歯
- 歯を削る方法
- セラミック治療
- 詰め物・被せ物の作り直しによる噛み合わせの調整
歯を削らない方法
歯を削らずに噛み合わせを治す方法は3つあります。
- 矯正
- スプリント(マウスピース)
- 歯科用樹脂の盛りつけ
矯正
歯が凸凹して生えている叢生(そうせい)、出っ歯や受け口、過蓋咬合など、前後左右・上下にズレている歯や顎の位置を整えて噛み合わせを改善します。
主に、歯並びが悪いことが噛み合わせに悪い影響を与えている場合に有効です。
スプリント(マウスピース)
スプリントは、噛み合わせが悪いことでロックされている口周りの筋肉を、自由に動かせるようにするマウスピースです。
口周りの筋肉を自由に動かすことで、顎の位置を本来の位置に戻す効果が期待できます。
顎の動きに合わせて1〜2週間ごとに歯科医院でスプリントの高さを調整してもらうことで、2〜6ヶ月ほどで顎の位置を改善できる可能性があります。
歯科用樹脂の盛りつけ
歯の噛む面に歯科用樹脂を盛り付けて高さを出し、噛み合わせの改善を図ります。
歯を削らなくて済むため、歯へのダメージは少ないです。
ほとんど歯を削らない方法
ほとんど歯を削らずに噛み合わせを治す方法として、「オーバークラウン義歯」というものがあります。
奥歯の部分入れ歯に前歯の被せ物を合体させたような形の入れ歯です。
主に、奥歯が何らかの原因で失くなってしまい、お口全体の噛み合わせが低い方に適応されます。
入れ歯で奥歯の噛み合わせを正常な高さにしたうえで、高さの足りない前歯部分にも、着け外しのできる被せ物を着けて高さを補います。
前歯を削らなくても全体的な噛み合わせの高さを変えられるので、ほとんど歯を削らずに噛み合わせを改善できます。
歯を削る方法
歯を削って噛み合わせ治す治療は、主に詰め物や被せ物を使って行われます。
- セラミック治療
- 詰め物・被せ物の作り直しによる噛み合わせの調整
セラミック治療
歯を削ってセラミックを被せることで、歯の高さを変えたり歯並びを整えたりして改善する方法です。
「セラミック治療」や「セラミック矯正」などと呼ばれます。
歯をたくさん削る必要があり、場合によっては歯の神経を抜くこともあるため、メリットとデメリットをよく理解して行う必要があります。
詰め物・被せ物の作り直しによる噛み合わせの調整
過去に治療したときの詰め物や被せ物が低い場合に、適切な高さの詰め物や被せ物に作り替えることで、噛み合わせの改善を図ります。
噛み合わせの治療方法はさまざまあります
噛み合わせが悪いと、歯周病などのお口の問題だけではなく、顎の関節や全身状態にも影響が出ることがあります。
噛み合わせを治す方法はさまざまあるため、歯科医師と相談してあなたに合った方法を検討しましょう。
365dentistでは、あなたに合った歯科医院探しのお手伝いをしています。
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365dentist総監修 歯科医師/勝屋友紀子
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務
監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター