噛みあわせが悪いと矯正が必要?
日常生活には不便を感じていないのですが、噛み合わせが悪いと矯正が必要ですか?
矯正で噛み合わせを整えることは、口だけでなく全身の健康維持・増進に役立つので、可能であれば、矯正することをおすすめします。
今回は、矯正をおすすめする悪い噛み合わせについてお話しします!
矯正をおすすめする悪い噛み合わせ
悪い噛み合わせにはいくつかの種類があり、複数の噛み合わせが混在することがあります。それぞれ見た目だけでなく、食べ物を噛んで喉に送り込む機能や発音機能などに悪い影響を与えることがあります。
- 上顎前突
- 下顎前突
- 過蓋咬合
- 開咬
- 叢生(そうせい)
- 空隙歯列
- 顎変形症
上顎前突
出っ歯のことで、上の前歯もしくは上顎の骨が全体的に前に出ている噛み合わせです。
唇を閉じにくいことや、横から見たときに歯や口元が出ていることを気にする人もいます。また、唇が閉じにくくて口呼吸になっている場合は、口の中が乾いて虫歯や歯周病、口臭が発生しやすくなります。
下顎前突
受け口や反対咬合とも呼ばれる噛み合わせです。下の前歯もしくは下顎の骨が上の歯よりも前に出ています。
顎がしゃくれて見えたり、重度の下顎前突になると横顔が三日月形になったりするのが特徴です。
噛み合わせが通常とは上下逆になっているため、食べ物が噛みにくい、サ行・タ行を発音する際に息もれして上手く喋れないなどの機能的な障害が発生しやすいです。
過蓋咬合
上の歯と下の歯が正常に噛み合っている状態では、
下の歯を覆うくらい噛み合わせが深い状態で、ディープバイトとも呼ばれます。
笑ったときに歯茎が出てガミースマイルになりやすい傾向があります。
また、下の歯の動きが制限されることで歯や顎への負担が大きく、年数とともに奥歯が削れて過蓋咬合が悪化したり、下顎がスムーズに動かせず、顎関節症を引き起こしたりすることがあります。
開咬
噛んだときに上下の前歯が当たらない噛み合わせで、オープンバイトとも呼ばれます。
軽度な開咬であれば、上顎前突や下顎前突ほど顔貌に影響はありません。
しかし、前歯で噛めないことによる奥歯への負担、発音、口呼吸などの機能的な問題が多く潜んでいる噛み合わせです。
口呼吸となると口が乾燥し、虫歯になりやすくなったりもします。
叢生
隣り合った歯と段差ができたり、重なって生えていたりする歯並びです。
ガチャ歯や乱杭歯と呼ばれ、八重歯も叢生の一種です。
歯の生える向きが揃っていないため、見た目の美しさに影響を与えます。
また、歯のデコボコ部分に歯の汚れが溜まって虫歯や歯周病、口臭を引き起こしやすく、上下の歯がよく当たる部分だけ歯が削れて形が崩れてしまうことがあります。
空隙歯列
歯と歯の間に隙間ができる噛み合わせで、すきっ歯とも呼ばれます。笑ったときにすきっ歯が見えて、見た目が気になることがあります。
顎変形症
上顎前突や下顎前突、開咬などの悪い噛み合わせに加えて、顔の変形がみられるものを指します。
顎の過成長や劣成長、顔面の非対称が原因で噛み合わせが悪いケースも顎変形症に含まれ、見た目と噛み合わせの両方に問題が生じます。
噛み合わせが悪いことが原因で起こりうる症状
噛み合わせが悪いと、以下のような症状が出る可能性があります。
- 噛み合わせると歯が痛い
- 虫歯・歯周病・口臭
- 顎関節症
- 発音障害
- そのほか全身症状
噛み合わせが悪いからといって必ず起こる症状ではなく、また、噛み合わせだけが原因で起こりうる症状ではありませんが、原因のひとつとして心に留めておくといいでしょう。
噛み合わせると歯が痛い
噛み合わせが悪くて一部の歯にだけ強い負担がかかると、歯の根の周りの組織が炎症を起こして痛むことがあります。
咬合性外傷といって噛み合わせが原因で起こり、症状が進行すると歯を支える骨が溶けてなくなったり、歯が割れてしまったりします。
虫歯・歯周病・口臭
噛み合わせが悪い人は、唇が閉じにくいなどの理由で口呼吸になっている傾向があります。
口呼吸をすると口の中が乾きやすく、虫歯・歯周病・口臭の原因となる細菌の活動が活発化しやすいです。
また、叢生のようなデコボコした歯並びをしている場合は、歯の汚れが溜まりやすく、歯磨きもしにくいため、セルフケアの観点からも虫歯・歯周病・口臭のリスクが高いです。
顎関節症
噛み合わせが悪いと、食べ物を噛んだり歯ぎしりをしたりするときに顎の関節に負担がかかり、顎関節症を発症する可能性があります。
顎関節症になると、顎の関節が痛い、口を思い切り開けられずにロックされてしまう、口を開けようとすると顎がガクガクするかクリック音が鳴るなどの症状が現れます。
発音障害
発音は口、舌、唇、歯などの動きや形によって作られます。
噛み合わせが悪いと舌が上顎に付かない、歯と歯の間から空気が漏れるなどして発音が曖昧になることがあります。
そのほか全身症状
上手く噛めないと顎の関節や口周りの筋肉に負荷がかかり、そこから波及して首や肩の筋肉が緊張し、肩こりや頭痛を引き起こすことがあります。
また、噛む刺激は心の安定に関係があるといわれており、上手く噛めないことでストレスが溜まったり、食べ物を胃に送り込む前にしっかりと噛み砕けないことで胃に負担をかけたりする可能性も示唆されています。
悪い噛み合わせを矯正で治す費用
悪い噛み合わせを矯正で治す方法は、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の2種類に分けられます。それぞれの費用は以下の通りです。
表側矯正 (ワイヤー矯正) | 70〜150万円ほど | 歯の表側にブラケットとワイヤーを装着する矯正方法です。 |
裏側矯正 (ワイヤー矯正) | 100〜150万円ほど | 歯の裏側にブラケットとワイヤーを装着する矯正方法です。 |
ハーフリンガル矯正 (ワイヤー矯正) | 80〜130万円ほど | 上の歯の裏側、下の歯の表側にブラケットとワイヤーを装着する矯正方法です。 |
マウスピース矯正 | 80〜130万円ほど | 透明なマウスピースを1〜2週間ごとに交換して、歯を動かす矯正方法です。 |
噛み合わせが悪い?セルフチェック
最後に、噛み合わせが悪いかどうかセルフチェックしてみましょう。ひとつでも当てはまれば噛み合わせが悪い可能性があります。
- 顔や歯並びが左右対称か
- 横顔で唇がひどく出ていたり、引っ込んでいることはないか
- 上の歯はすべて下の歯を覆っているか
- 上下の前歯の中心が一致しているか
- 歯が重なっていたり、間に隙間はないか
- 上の前歯や下の前歯が前方に出ていないか、その逆はないか
- 前歯がひどく伸びだしていることはないか
- 部分的に食物が歯の間に停滞したり、はさまることはないか
- ひどく磨り減っている歯はないか
- 口臭が気にならないか
出典:公益社団法人 日本矯正歯科学会 https://www.jos.gr.jp/about
噛み合わせが悪い場合は矯正を検討するのがおすすめです
噛み合わせは見た目だけでなく、口の機能にも影響します。噛み合わせが整うと、歯の寿命が伸びて将来的に歯を残せる確率も高くなるので、気になる方は矯正を検討するのがおすすめです。
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365dentist総監修 歯科医師/ゆきこ
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務
監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター