【歯科医師解説】ガミースマイルは矯正で治すことができるの?
笑ったときに唇がめくれ上がるのが気になります。ガミースマイルは矯正で治せますか?
はい!矯正でも治せます。
矯正では歯並びや顎の形などを整えつつ、ガミースマイルを改善できるのでおすすめです。
今回は、ガミースマイルを矯正で治す方法についてお話します。
ガミースマイルは矯正でも治せる
ガミースマイルとは、笑った時に上の歯茎が大きく見える口元のことを言います。人によっては若々しく見えて魅力的な口元ですが、コンプレックスに思っている方も多いです。
ガミースマイルには歯茎や歯、歯並びなどが関係しています。また、笑顔を作るときの筋肉の動きにも影響されるため、ガミースマイルを治すには原因に応じて必要な処置を選択する必要があります。
ガミースマイルを治す方法は大きく分けて3つです。
- 矯正
- 上唇や歯茎、顎の骨の形を整える外科手術
- 上唇を引き上げる筋肉へのボトックス注入
矯正、歯茎や骨の形を整える手術は、歯科で対応できる範囲に限られますが、ガミースマイルの根本的な原因となる歯・歯茎・骨の形などを改善できます。
上唇を引き上げる筋肉へのボトックス注射は半年ほどで効果が切れるため、あくまで対症療法となります。
ボトックスは矯正よりも費用が抑えられるため始めやすいですが、ガミースマイルになりやすい歯並びや骨の形をしている場合は、矯正や外科手術を行う根本治療がおすすめです。
ガミースマイルにも程度があります。軽度な方はボトックスで満足できることもありますが、歯茎が歯と同じくらい見えるくらい重度な方は、骨切りを伴う矯正などが必要です。
ガミースマイルの原因
ガミースマイルは以下の要素により、歯茎が見えやすいか唇が上に引き上がり過ぎることで起こります。
- 顎の骨の形や歯並び
- 歯茎から出ている歯の長さ
- 口周りの筋肉
顎の骨の形や歯並び
顎の骨の形や歯並びは、ガミースマイルの根本的な原因です。
- 上顎の骨が縦に長い
- 出っ歯
- 口ゴボ(上下顎前突)
- ディープバイト(過蓋咬合)
これらの歯並びや噛み合わせの方は、ガミースマイルの改善に矯正が効果的です。
上顎の骨が縦に長い
上顎の骨が縦に長いと、笑ったときに歯茎が見えやすい傾向があります。骨の形が縦に長い場合は、上唇よりも下の位置に歯があるため、ガミースマイルになりやすいです。
出っ歯
出っ歯の場合は歯とともに歯茎が前に出ていることがあるため、ガミースマイルになりやすいです。
口ゴボ(上下顎前突)
口ゴボとは横顔を見たときに、口元が突出している状態です。このタイプは上下の顎の骨が骨格的に前に出ているため、出っ歯と同じようにガミースマイルになりやすいです。
ディープバイト(過蓋咬合)
ディープバイトは噛み合わせが深い状態です。噛み合わせが深いため、笑ったときに歯茎が見えやすい噛み合わせです。
歯茎から出ている歯の長さ
歯茎から出ている歯の長さが短い人は、下の方まで歯茎のラインが降りてきているため、ガミースマイルにもなりやすいです。
口周りの筋肉
- 上唇が薄い
- 上唇の筋肉が強い
これに当てはまる方は、いずれも唇の形や筋肉とのバランスによって唇が上がり過ぎている可能性があります。歯茎が露出しやすいので、ガミースマイルになりやすいです。
ガミースマイルを矯正で治す方法
矯正では、以下の3つの方法でガミースマイルを改善します。
- 歯を奥歯の方に引っ込める
- 歯の生えている位置を引き上げる
- 上顎の骨を切って短くする
ガミースマイルを改善するために用いる矯正装置は、基本的にワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも可能です。歯並びや噛み合わせの状態による適応、担当歯科医師の方針や扱いが得意な装置が何かによって、使用する装置は変わります。
歯を奥歯の方に引っ込める
矯正で歯を奥歯の方に移動させ、口元の突出感を減らすことでガミースマイルを改善します。
歯並びや骨格の状態によっては、歯を引っ込めるスペースを作るために、抜歯や顎の骨を切る手術が必要になることがあります。また、ワイヤー矯正の場合はインプラントアンカーという小さなネジを歯茎に埋め込むなど、別の装置を併用する場合もあります。
歯の生えている位置を引き上げる
上顎が縦に長く、歯が下の方に生えている場合は、矯正で鼻の方向に歯列を引き上げてガミースマイルを改善します。
ただし顎の骨の形は変わらないため、この方法で歯の位置を引き上げる量には限界があります。そのため、場合によっては顎の骨を切る手術が必要になることがあります。
上顎の骨を切って短くする
上顎が縦に長いタイプのガミースマイルの人は、顎の骨を切って短くすることで、ガミースマイルになりにくい骨の形に整えます。
ガミースマイルを矯正以外で治す方法
ガミースマイルを矯正以外で治す場合は、矯正だけではなく以下の方法を用いてガミースマイルを治します。
- 上唇や歯茎の形を整える
- 口周りの筋肉へのボトックス注入
上唇や歯茎の形を整える
粘膜、歯茎や歯の周りの骨を切り取って、ガミースマイルの原因を取り除きます。いずれも歯科で対応可能です。
- 上唇粘膜切除術
- 歯肉形成(歯肉切除術)
- 歯冠延長術
上唇粘膜切除術
上唇が薄かったり筋肉が強い場合に、上唇の粘膜を一部切り取って短くすることで、唇の可動域を少なくする手術です。
必要以上に唇が引き上がらないので、笑ったときに見える歯茎の量も少なくなり、ガミースマイルが改善します。
歯肉形成(歯肉切除術)
歯に被さっている歯茎の量が多い場合に用いる手術です。レーザーなどで歯茎を切り取って歯茎から見える歯を長くすることで、歯茎のラインを引き上げます。
矯正をしない場合は、歯の位置や骨の形は変わらないので、ガミースマイルの改善には限界があります。
歯冠延長術
歯肉形成で歯茎を切るのに加えて、歯を支える骨(歯槽骨)も削って整える手術です。歯茎から出ている歯の長さを調整して、ガミースマイルを改善します。
歯肉形成だけだと術部の傷の回復に伴って歯茎の形が後戻りする可能性があるため、歯肉形成よりも歯冠延長術の方が変化を感じやすいです。
上唇を引き上げる筋肉へのボトックス注入
ボトックスを注入して、上唇を引き上げる筋肉の動きを鈍くする方法です。
ボトックスによって筋肉の収縮が起きなくなるので、笑ったときに唇が引き上がる量が減り、ガミースマイルが改善します。
ボトックスの効果は半年くらいなので、定期的に施術する必要があります。
なお、ボトックス注入を止めても、筋肉が元の状態に戻るだけなので、身体への悪影響や負担はほとんどありません。
矯正をすると1〜2年の治療期間が必要になり、顎の骨を切る手術をする場合は最低1週間の入院や食事制限が必要です。
費用も100万円単位でかかるため、そこまでの覚悟が持てないという方は、ボトックスでガミースマイルが治ったときにどのようになるか体験してみるのも良いでしょう。
ガミースマイルを矯正で治すなら
ガミースマイルは唇の筋肉、歯並び、骨格が原因で起こります。
矯正は歯並びや骨格の改善にアプローチできるので、ガミースマイルの治療に効果的です。
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同じ悩みを持つ方とお話ししたい場合は、オープンチャットで気軽にご相談ください!
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365dentist総監修 歯科医師/勝屋友紀子
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務
監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター