きれいな歯並びの条件とは?
矯正をしたいとお考えの方は「きれいな歯並びになりたい!」と思って治療を始める方が多いでしょう。
では「きれいな歯並び」とはどんなものでしょうか?
矯正歯科や審美歯科で考えられる、きれいで理想的な歯並びの条件についてお話しします。
きれいで理想的な歯並びの条件
きれいで理想的な歯並びは、以下の4点から口元を観察したときの歯や歯茎の状態で決まります。
- 噛み合わせたときの歯と歯茎の状態
- 笑ったときに見える歯と歯茎、唇の状態
- 横から見たときの口元の形
- 歯の清掃状態
噛み合わせたときの歯と歯茎の状態
鏡を見て、正面からイーッと歯を噛み合わせたときに、歯と歯茎が以下のような状態になっているのが理想です。
- 上下の正中線が合っている
- 上の前歯が下の前歯に2〜3mmくらい被さっている
- 上の前歯6本の歯の長さのバランスが良い
- 隣り合った歯が重なっていない
- 歯茎と歯の境目のラインが均一になっている
- ブラックトライアングルが無い
- 歯の大きさ・向き・形が左右対称
- バッカルコリドー(笑った時に口角に出来る影)が目立たない
上下の正中線が合っている
歯は正中線を境に対称になるように、左右それぞれに永久歯が7〜8本生えています。正中線とは左右対称の基準となる、前から1番目の歯と歯の間にある線のことです。
きれいな歯並びでは、上下の歯の正中線が縦にまっすぐ並んでいるのが理想です。
上の前歯が下の前歯に2〜3mmくらい被さっている
きれいな歯並びは、上の歯が下の歯に2〜3mmくらい被さっているのが理想です。
これよりも多く上の歯が下の歯に被さっていれば「過蓋咬合」や「出っ歯(上顎前突)」、逆に下の歯が上の歯に被さっていれば「受け口(下顎前突)」、上下の歯が接していなければ「開咬」といった不正咬合の可能性があります。
上の前歯6本の歯の長さのバランスが良い
上の前歯6本(前歯から犬歯まで)の歯の長さのバランスが良いと、歯並びがきれいに見えます。
前から1番目の歯(中切歯)と3番目の歯(犬歯)の先端が同じくらいのラインに並ぶ長さで、2番目の歯(側切歯)が少しだけ短いのが理想のバランスです。
隣り合った歯が重なっていない
歯が隣の歯よりも1本だけ前や後ろに生えていたり、斜めに生えたりしておらず、隣り合った歯がまっすぐに並んでいると歯がきれいに見えます。
歯が重なって生えており、歯列が凸凹している歯を「叢生」や「ガチャ歯」「乱杭歯」などと呼びます。
歯と歯茎の境目のラインが均一になっている
歯と歯茎の境目のラインが、歯の先端のラインと並行になるイメージで均一な線を描いていると、歯並びがきれいに見えます。
歯周病などで歯茎が一部分だけ著しく退縮していると、歯茎のラインが均一でなくなるため、一部分だけ歯が長く見えて審美性がやや低下します。
ブラックトライアングルが無い
ブラックトライアングルとは、隣り合った歯の根元にできる三角の隙間です。光が入らずに黒い隙間に見えることから、ブラックトライアングルと呼ばれます。
歯と歯の間には歯茎が三角形に入り込んでおり、隙間が無いのがきれいな歯茎とされていますが、加齢や歯周病、歯列矯正によってブラックトライアングルができることがあります。
ある程度の大きさのブラックトライアングルは、加齢によって誰にでもできるものです。しかし、ブラックトライアングルが大きくなると、審美性の低下を招くことがありあます。
歯の大きさ・向き・形が左右対称
歯の形は個人差がありますが、正中線を境に歯の大きさや向き、形が左右対称だと歯並びがきれいに見えます。
笑ったときに見える歯と歯茎、唇の状態
口角を上げて笑ったときに、以下の2つを満たしているのが理想です。
- スマイルラインが下の唇に沿って並んでいる
- 上の前歯の歯茎が見えすぎない
スマイルラインが下の唇に沿って並んでいる
上の前歯の先端を結んだ線を「スマイルライン」といいます。
口角をあげて笑ったときに、下唇に沿うようにスマイルラインができていると、歯並びがきれいに見えます。
上の前歯の歯茎が見えすぎない
笑ったときに、上唇に歯と歯茎の境目が少しだけ隠れるくらいが理想です。
笑ったときに上唇が上がって3mm以上歯茎が見える場合は「ガミースマイル」となります。
バッカルコリドーが目立たない
バッカルコリドーとは、笑った時に口角に出来る影のことで、その影が大きくなると口が暗く見えます。
見た目の綺麗さには歯そのものの並び方だけでなく、歯と口の関係も重要なポイントです。
横から見たときの口元の形
鼻と顎の先を結んだラインを「Eライン」といいます。「エラスティックライン」とも呼ばれ、美容外科的にきれいな横顔の基準とされています。
歯並びの治療でも、口元の突出感を評価するためにEラインが用いられることがあり、横から顔を見たときに、Eラインに触れないように内側に口元が収まっているのが理想です。
しかし、Eラインは鼻の高い欧米人を基準に作られたものなので、遺伝子的に骨格の違う日本人で当てはまる方は少ないです。
日本人の場合は、Eラインに唇が軽く触れるくらいが理想です。
歯の清掃状態
きれいな歯並びには、以下のようなお手入れの行き届いた清潔な歯がとても重要です。
- 歯に歯垢や歯石が着いていない
- 歯周病や虫歯に罹っていない
- 着色やヤニで歯が黄ばんでいない
きれいな歯並びの条件をすべて満たしたとしても、口が不潔であればすべてが台無しになってしまいます。
歯に歯垢や歯石が着いていない
毎日の歯磨きが正しくできており、歯に歯垢や歯石が着いていないことがとても大切です。
歯に着いた歯垢や歯石は虫歯や歯周病だけでなく、歯の黄ばみやほかの口内トラブルを引き起こします。
歯周病や虫歯に罹っていない
審美性が低下するため、きれいな歯並びには虫歯や歯周病に罹っていないことが重要です。
歯周病になると、歯を支える骨が溶けて歯肉退縮が起こります。
歯肉退縮はブラックトライアングルを作って審美性の低下を招くだけでなく、口臭の発生や歯が抜け落ちる原因となります。
また、虫歯になると歯が溶けて黒くなるため、審美性が低下します。
着色やヤニで歯が黄ばんでいない
着色やヤニが歯にたくさん付いていると、歯が黄ばんで透明度が下がります。そのため、清潔感のない老けた印象を与えることがあります。
きれいな歯並びで得られるメリット
歯並びがきれいだと、歯並びが悪い人と比べて審美面と健康面で4つの良いことがあります。
- 笑顔がきれいに見える
- 第一印象が良くなる
- 虫歯や歯周病になりにくい
- 免疫力の向上
笑顔がきれいに見える
きれいな歯並びの条件には、笑ったときに歯がきれいに見えることも含まれています。
そのため、歯並びが理想に近づいてきれいになると、笑顔もきれいに見えます。
第一印象が良くなる
毎日の歯磨きやお手入れが行き届いているきれいな歯並びは、笑ったときや口を開いたときに見える歯に清潔感があるので、第一印象が良くなります。
虫歯や歯周病に罹りにくい
きれいな歯並びは歯の重なりが無いため、歯磨きなどのケアがしやすくなります。
乱れている歯並びと比べて歯垢や歯石も溜まりにくいので、虫歯や歯周病などの口腔疾患に罹りにくいです。
免疫力の向上
口呼吸をしている方は、体内にアレルギー物質やウイルスなどがダイレクトに入り込むため、鼻呼吸の方と比べてアレルギーや病気に罹りやすい傾向があります。
歯並びが改善して口が閉じやすくなると鼻呼吸がしやすくなるので、身体の免疫力向上が期待できます。
きれいで理想的な歯並びを目指すなら
きれいで理想的な歯並びには、たくさんの条件があります。
人間には個体差があるため、今回ご紹介した条件が必ずしもすべてではなく、条件をすべて満たしていないといけないということもありません。
実際には歯の形や顎の形、お顔とのバランス、個人の好みや美意識によって、きれいな歯並びの理想は変わります。
- 自分にとって理想の歯並びが知りたい
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きれいで理想的な歯並びを目指すための歯科医院選びをお手伝いいたします。
監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター
365dentist総監修 歯科医師/勝屋友紀子
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務