マウスピース矯正のデメリットとは?メリットについても解説
透明なアライナーを装着して歯並びを治すマウスピース矯正。
従来のワイヤー矯正とは異なり、目立ちにくく、自由に取り外せる点など、メリットが多く人気となっています。
メリットが注目されがちなマウスピース矯正ですが、実は、デメリットも存在しています。
今回は「マウスピース矯正のデメリット」およびメリットついて解説します。
■マウスピース矯正のデメリット
どんな治療法にも得意分野とそうでない分野があるように、マウスピース矯正にも少なからずデメリットが存在します。この項では、マウスピース矯正のデメリットについてご説明します。
◎1日の装着時間が20時間前後と長い
マウスピース矯正は、ほとんどのメーカーの製品が「1日20時間前後」の装着を必須としています。
各メーカーごとに差はありますが、おおむね、1日に18~22時間前後装着することが条件となっています。
1日20時間前後の装着とは、「食事と歯磨きのとき以外はマウスピースを装着すること」を意味します。
もちろん、寝るとき(就寝中)もです。取り外しができないワイヤー矯正と比べればいくらかマシですが、最初のうちは装着時間の長さにストレスを感じてしまうケースも少なくないようです。
◎定められた装着時間を守らないと効果がでない
1日20時間前後の装着が必須のマウスピース矯正。
マウスピース矯正は、定められた装着時間を守らなかった場合、矯正効果が薄れる、またはまったく矯正効果がでないことがあります。
マウスピース矯正で使うマウスピースは患者さんがご自身で自由に取り外すことができます。
自由に取り外せる点はマウスピース矯正の大きなメリットです。
しかし、そのメリットがかえって仇となることも。
「これくらいなら外して大丈夫かも」とだんだんマウスピースを外す時間が長くなり、最終的にはマウスピースを装着しない日がでてくる・・・といったケースもめずらしくありません。
このような「装着をサボってしまったケース」では、当然、矯正効果が薄れます。
装着をサボったことが原因で矯正治療の期間を延ばさなければならなくなることもあるため、装着時間はかならず守る必要があります。
◎装着中は飲食物に制限がかかる
自由に取り外せて歯磨きもふつうにできるマウスピース矯正。
取り外せないワイヤー矯正と違い、歯を清潔に保ちやすいのが特徴です。
しかし、ふつうに歯を磨けるからといって、何でも食べたり飲んだりしていい訳ではありません。
マウスピースを装着しているあいだは、砂糖を含むジュースはNGです。
マウスピース矯正で使用するアライナー(マウスピース)は、歯とぴったり密着するように作られています。
マウスピースと歯のあいだに砂糖を含む液体が入ると、虫歯が起きてしまう可能性が高くなります。
無糖のコーヒーや紅茶、緑茶は虫歯になるリスクは低いですが、歯に着色汚れ(ステイン)がつきやすく見た目の問題が発生します。こちらもできるだけひかえた方がよいでしょう。
◎先生による当たり外れが大きい
マウスピース矯正はワイヤーを曲げたり色んな装置を使い分けたりがないので、矯正初心者の先生でも手がけやすい矯正方法です。
治療計画も、必ずドクター側の治療計画の修正を行うことを前提にマウスピースの会社や技工士さんが大体のところで作ってくれます。
そのため、矯正に関する基本的な知識がないまま治療に望んでいる先生も多いのが現状です。
マウスピース矯正は始めるのが簡単である反面、旨く使いこなして綺麗に完成させて終えるのは非常に難しく、技術や知識の差が出やすい治療方法として知られています。
マウスピース矯正を行うなら、きちんとワイヤー矯正の知識もある先生に診てもらうのが安心でしょう。
矯正歯科選びで困ったら365dentist公式ラインに是非ご相談下さい。都内できちんと知識のある先生方をご紹介しています。
◎こまめに歯を清掃する必要がある
マウスピース矯正ではちょっとした飲食でもマウスピースを外す必要があります。無糖の飲み物(水や砂糖を含まない無色の液体など)は装着したままでも問題ありません。
飲食をして歯磨きをせずマウスピースを装着してしまうと、食べカスや歯垢(プラーク)が残った状態で歯を密閉してしまうことになります。
マウスピース装着時はお口の中の唾液が循環しにくい状態です。
通常であれば、唾液の分泌や水でゆすぐことである程度お口の中の汚れは落とすことができますが、マウスピース装着中はそうもいきません。
食べカスや歯垢が残った状態が長く続くと、虫歯や歯周病になるリスクが高まってしまいます。
虫歯や歯周病のリスクを下げるためにも、飲食のあとはしっかりと歯を磨く必要があります。
◎重度の不正咬合や抜歯矯正などには対応できない場合がある
ワイヤー矯正とは異なり、マウスピース矯正は重度の不正咬合や抜歯矯正など、一部の症例には治療を適用できない場合があります。
重度の出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)、重度のデコボコ歯(叢生)など、あまりにも歯並びの乱れが大きいケースにはマウスピース矯正を適用できません。
あごの骨格が原因の骨格性の出っ歯や受け口もマウスピース矯正の適用範囲外となります。
抜歯矯正の場合は、抜歯の本数が少ない場合(2~4本以下)であれば、マウスピース矯正のみで治療が可能です。
しかし、5本以上歯を抜くケースではマウスピース矯正のみでは治療ができない場合があります。
多くの抜歯が必要なケースではワイヤー矯正に切り替えるか、ワイヤー矯正ののちにマウスピース矯正を行うなど、治療方法を変える必要がでてきます。
◎メーカーによって矯正効果が異なる
マウスピース矯正はメーカーによって矯正の効果(治療性能)が異なります。
現在、多くのメーカーから独自のマウスピース製品が展開されていますが、A社の製品とB社の製品では治療の性能が異なる・・・といった具合に、それぞれのメーカーごとに矯正効果が違います。
さまざまな製品がある中で、現在、唯一のフルデジタル方式のマウスピース矯正として人気があるのが「インビザライン」です。
インビザラインはこれまでのマウスピースの常識を打ち破り、従来では不可能だったむずかしい症例にも対応できるのが特徴です。(※)
※重度の不正咬合や骨格性の不正咬合など対応できない場合があります。
■マウスピース矯正のメリット
・透明のアライナーを装着するため目立ちにくい
・いつでも自由に自分自身で取り外すことができる
・いつもどおりの食事を楽しめる
・歯をしっかりと磨くことができ、口内環境を清潔に保ちやすい
・ワイヤー矯正のような強い痛みを感じにくい
・ワイヤーやブラケットなどの金具を使わないため、お口の中を傷つける心配がほとんどない
【まとめ】
マウスピース矯正のデメリットおよびメリットについて解説をさせていただきました。
メリットが注目されがちなマウスピース矯正ですが、デメリットも存在しています。
マウスピース矯正をご検討中の方は、本当にご自分にマウスピース矯正が適しているのかをしっかりと判断し、デメリットを理解した上で治療を受けることをおすすめします。
監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター
365dentist総監修 歯科医師/勝屋友紀子
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務