矯正歯科を転院すると費用ってどうなるの?
通っている歯科医院の治療に不安がある場合って転院できるのかな?
それに費用も返金ってできるのかな…?
引っ越しが決まって通院できなくなりました…転院しなくちゃいけないんですけど…?
さまざまな理由で転院を考えているみなさんのために、転院時の心配事を解決していきましょう!
転院をするときは返金される?
やむを得ない事情によって矯正治療中に転院となってしまった場合、歯科医院によっては治療の進み具合に応じて現在の医院へ返金を要求できることがあります。
矯正治療は一人一人のお口や骨格に合わせてオーダーメイドの治療計画を立てて、オーダーメイドの矯正装置で治療を進めています。そのため始めたばかりと言っても治療計画や装置に多額の費用がかかっているため、基本的に全額返金はありません。
考えられる矯正の返金方法についてをまとめました。
契約書・同意書に記載されている
まずは矯正治療を開始した際の同意書や契約書があれば確認してみましょう。
矯正を中断する際の返金について記載されていればそちらに則って返金がなされるでしょう。
契約時に「お引越しのご予定はしばらくないですか?」と聞かれたり転院は出来ないなど、初めにお話をしてくる歯科医院もありますよ。
日本矯正歯科学会の指針に則る
日本矯正歯科学会では転医に際しての矯正費用の返金に関する指針があります。
担当の先生が日本矯正歯科学会会員の場合、この指針に則って返金される場合が考えられます。
あくまで指針ですので、歯科医院によって対応は異なります。注意してください。
また、下記は基本的には表側ワイヤー矯正を基本とした指針ですが他の治療方法に関しても治療の到達度による節も書いてあります。
ただし、マウスピース矯正や裏側矯正は初めにオーダーする装置代が表側に比べて非常に高額になるため、返金率が下がってくる可能性はあるかと思います。
永久歯列期のマルチブラケット装置による治療の場合、矯正費用精算額は治療のステップ(治療の進行状態)や今後の治療内容などから決定する。また非抜歯治療や他の治療法においても同様に治療終了までの治療内容の到達度などから決定する。 返金額の決定に際しては以下の表を参考とする。
公益社団法人日本矯正歯科学会
矯正歯科患者の転医に際しての矯正費用の返金に関する指針
治療のステップ | 返金の目安 |
前歯部の整列(初期) | 60~70% |
犬歯の移動 | 40~60% |
歯列の空隙閉鎖 | 30~40% |
歯列咬合の仕上げ | 20~30% |
保定 | 0〜5% |
矯正歯科患者の転医に際しての矯正費用の返金に関する指針より引用
(なお保定において、再治療、保定装置の再作製が必要になった場合などは、 別途費用が請求されることが想定されます)
日本矯正歯科学会会員である場合歯科医院のHPに記載されていることが多いですよ。会員かどうか歯科医院選びの参考にする方も多いです。
日本臨床矯正歯科医会の指針に則る
日本臨床矯正歯科医会でも転院時の返金目安を定めています。
永久歯列期のマルチブラケット装置(表側ワイヤー矯正)による治療で既に全額入金となっている患者に対しての返金する割合の目安
治療のステップ | 金額判断の目安 |
前歯の整列 | 60~70%程度 |
犬歯の移動 | 40~60%程度 |
前歯の空隙閉鎖 | 30~40%程度 |
仕上げ | 20~30%程度 |
保定 | 0 ~ 5%程度 |
※治療費精算額は、治療のステップや既に経過した治療期間、今後の内容などを考慮し決定されます。
非抜歯治療や他のテクニックに関しても治療終了に至るまでのおおよその治療内容の到達度を考慮し、
精算額が決定されます。
転院の注意点
・引っ越しによる転院の場合はすぐに歯科医院に連絡を
矯正治療は治療を担当した歯科医師によって治療計画が異なります。
そのため引っ越しが決まったら引っ越し先で治療を引き継いでくれる歯科医院を紹介してもらうのがおすすめです。紹介には治療の計画や模型やデータなどさまざまな資料の準備があるので早めに相談しましょう。
矯正前から引っ越しが分かっていたら全国に系列がある歯科医院を選ぶのもいいかも!
・系列医院でない場合は転院先で追加費用が発生することがほとんど
全く別の医院に転院した場合は検査からやり直すことが多く、基本的には治療方針も転院先で新たに立ていきます。そのため、前医院で返金された額よりも高い費用が掛かる可能性が高いです。
転院を受け入れた時点で責任が生じるので、検査もせず前の医院の治療方針通りに進めて結果ダメでした、なんて言えませんからね。
さらに、転院により装置を外したり期間が空いてしまった場合は、矯正した歯が後戻りする可能性があり、その場合は後戻りした時点から矯正を再開します。そのため追加の期間や費用が余計にかかる可能性があります。
また、治療費は装置代と思っている方が多いですが、それは大きな間違いです。
矯正治療は診断、治療方針が結果を左右するといっても過言ではありません。最初の診断、治療計画の立案に、その先生がこれまでお金も時間もかけて培ってきた知識、技術、経験をつぎ込むため、治療費のほとんどはその技術料に対してです。
よって、装置を付けたまま転院したから費用は調整料だけ、というのはあり得ません。
装置を付ける場所が悪かったりすると付け治しになる可能性もありますし、そもそも矯正料金のほとんどが技術料のため、HPにわかりやすく装置代と記載していたとしても実際は装置そのものの代金ではないからです。
転院って思ったより大変そう…お金も時間もかかるのね…
・本当に転院する必要があるのか考えよう
現在の治療へ対する不満を理由に安易に転院をすることは基本的におすすめしません。
矯正歯科治療は一つの歯科医院で開始して終了、メインテナンスを続けるのが理想です。
転院したいと思ったときは、まずその理由を現在治療を行っている歯科医院にお伝えし、相談することをお勧めいたします。
直接言いにくいから悩んでるんですけど…
担当の歯科医師に直接話しにくい場合は他のスタッフに声がけして相談してみましょう。
転院は歯科医院側もおすすめすることではありませんので、しっかりと話し合えれば最善の道が開ける可能性があります。
また、いくら治療に不満…と言っても現在の歯科医院をを選んで決めたのはご自身です。
矯正を始める前の歯科医院選びは慎重に行いましょう。
都内で良い歯科医院をお探しの方は、現役歯科医師に無料相談可能な365dentist公式ラインをご利用ください。
多くの信頼出来る医院と提携していますのでお役に立てることと思います。
監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終後、都内の矯正、審美歯科にて勤務。現在は歯科医師/歯科ライター
365dentist総監修 歯科医師/ゆきこ
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務