酸蝕歯は治るのか?治療方法や費用、歯磨き粉について教えます。
先生「酸蝕歯」ってなんですか?
治るんでしょうか?
酸蝕歯は、食べ物や飲み物に含まれる酸によって溶けた歯のことです。
今回は、酸蝕歯は治るのか?治療方法や費用、歯磨き粉について教えます!
治るのか?酸蝕歯とは
酸蝕歯とは、歯の表面を覆うエナメル質が酸の影響で溶けている状態です。
虫歯菌が作る酸で歯が溶ける虫歯と違うのは、私たちが日常的に摂取している飲食物の酸が原因であるということです。
- ワイン
- 果物
- 果実酢
- 酢 など
私たちが普段から摂取している食べ物や飲み物には、酸が含まれているものが多くあります。
歯は酸に溶ける性質があるため、酸が歯に触れると唾液の中和作用が働くようになっています。
ところが、酸で歯が溶けるスピードが唾液の中和作用を上回ると、歯が溶けてエナメル質が薄くなり、酸蝕歯が進行してしまうのです。
溶けた歯は元に戻らないため、そのような意味では、酸蝕歯を治すことはできません。
酸蝕歯になった場合は、進行させないための処置で悪化を防いだり、失った歯の機能や審美性を回復するための治療をしたりすることになります。
酸蝕歯は、初期症状を見逃さず、早期発見することがとても大切です。
酸蝕歯の初期症状
酸蝕歯の初期症状には、以下のようなものがあります。
- 歯の先が透けて見える
- 冷たいものや熱いものがしみる
- 歯が黄色く見える
- 歯の角が丸く見える
歯の先が透けて見える
酸蝕歯になると歯を覆うエナメル質が薄くなります。
エナメル質は半透明のため、薄くなるとどんどん透明に近い色になって、歯の先が透けて見えるようになります。
冷たいものや熱いものがしみる
酸蝕歯になると、冷たいものや熱いものを口に入れたときに、歯がしみることがあります。
知覚過敏のような症状で、歯が薄くなることで、歯の神経に刺激が伝わりやすくなることが原因です。
酸蝕歯が重症化すると、知覚過敏も重症化する傾向があります。
歯が黄色く見える
酸蝕歯になると、歯が黄色く見えることがあります。
歯は表面から、エナメル質、象牙質、歯の神経の3層構造になっており、歯の色は黄色い象牙質の色が、半透明なエナメル質を通してどのくらい見えるかによって決まります。
つまり、酸蝕歯でエナメル質が薄くなると、黄色い象牙質の色が見えやすくなるので、歯が黄色く見えるのです。
酸蝕歯が進行すると歯が黄色くなるだけでなく、歯の表面に窪みができて茶色く変色することもあります。
歯の角が丸く見える
歯が溶けているので、歯の角がなくなって丸く見えることがあります。
酸蝕歯が進行すると、歯の形が変わって被せ物や詰め物が外れてしまうこともあります。
酸蝕歯の治し方
酸蝕歯は、以下の方法で症状の進行を抑えたり、失った歯の機能や審美性を回復するための処置を行ったりします。
- 歯質強化
- 詰め物や被せ物をする
歯質強化
酸蝕歯が進行して歯がこれ以上薄くならないように、歯質強化作用のある歯磨き粉を取り入れたり、歯科医院でフッ素塗布を行ったりします。
歯質強化作用のある歯磨き粉を使う
セルフケアで歯質強化作用のある歯磨き粉を用いて、酸に溶けにくい歯にしたり、溶け出した歯の成分を補ったりして、酸蝕歯の進行を防ぎます。
おすすめは、以下の成分が配合された歯磨き粉やデンタルペーストです。
- フッ素
- リカルデント
- 薬用ハイドロキシアパタイト
フッ素
フッ素は、
歯の再石灰化の促進により、唾液中に溶け出した歯の成分を戻す作用
エナメル質を酸に溶けにくい状態に変化させる作用
によって、酸蝕歯の進行を防ぎます。
リカルデント
リカルデントは、
- 酸を中和する緩衝作用
- 溶け出した歯の成分を補う作用
によって、酸蝕歯の進行を防ぎます。
リカルデント配合のセルフケア用品といえば、MIペーストが有名です!
デンタルペーストなので、いつも通りに歯磨きをしたあとにMIペーストを使いましょう。
薬用ハイドロキシアパタイト
薬用ハイドロキシアパタイトは、
- 溶け出した歯の成分を補う作用
- 歯にできたミクロレベルの傷を埋めて修復する作用
によって、酸蝕歯の進行を防ぎます。
歯科医院でフッ素塗布を行う
歯科医院でフッ素塗布を行って、歯質強化を図ります。
市販の歯磨き粉に含まれるフッ素よりも濃い濃度のフッ素を使用できるので、高い効果が期待できます。
詰め物や被せ物をする
重度の酸蝕歯で、歯に茶色い窪みができたり、欠けたりしている場合は、虫歯治療をするのと同じように詰め物や被せ物の治療をします。
酸蝕歯の治療費用
酸蝕歯の治療費用は、以下の通りです。
- 歯磨き粉・デンタルペーストを使う場合→数百円〜数千円
- 歯科医院でフッ素塗布する場合→約500〜3,000円
- 被せ物・詰め物で治す場合→約3,000円以上
歯磨き粉を使う場合
歯質強化作用のあるフッ素、リカルデント、薬用ハイドロキシアパタイトが含まれた歯磨き粉は、数百円〜数千円で購入することができます。
歯科医院でフッ素塗布する場合
歯科医院でのフッ素塗布は、保険適用になるケースと自費診療になるケースがあります。
自費診療の場合でも、施術費用は500〜3,000円ほどが相場です。
詰め物・被せ物で治す場合
酸蝕歯で詰め物や被せ物をする場合の治療費用は、基本的には虫歯の治療費と同じです。
- 保険適用の場合→1歯につき約3,000〜5,000円
- 自費診療の場合→1歯約25,000円以上
保険適用の場合|1歯につき約3,000〜5,000円
「コンポジットレジン」という歯科用のプラスチックで歯の窪みを埋めたり形を修復したりする場合は、保険診療で治療可能です。
費用は、1歯につき約3,000円が目安です。
インレーや被せ物をする場合は、保険適用の素材を使用すると1歯につき3,000〜5,000円くらいが目安です。
自費診療の場合|1歯約25,000円以上
審美性や強度を考慮して、セラミックの被せ物をする場合は、1歯につき約25,000円以上かかります。
自費診療のため、セラミックの強度が高く、カラーリングが天然歯に近いようなものは、10万円以上かかることもあります。
セラミックでも、CADCAMを使った白いインレーやクラウンは保険適用となりますが、適応条件があります。
保険適応のセラミックが使える場合の費用は、約10,000円が目安です。
まとめ
酸蝕歯とは、歯の表面を覆うエナメル質が、日常的に摂取している飲食物の酸の影響で溶けている状態です。
溶けてしまった歯は、元には戻せません。
酸性度の高い食べ物や飲み物をダラダラ食べないように心がけ、日頃のセルフケアに歯質強化作用のある歯磨き粉を取り入れるのがおすすめです。
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365dentist総監修 歯科医師/勝屋友紀子
長崎大学歯学部卒業、〜2018 九州医療センター、2018〜現在 都内歯科クリニック勤務
監修 歯科医師/Naomi
臨床研修終後、都内審美歯科勤務。現在は歯科医師/歯科ライター